カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備についての基本方針案を政府がまとめた。

 IRの誘致を目指す自治体が国に申請する区域整備計画の評価、選定基準を5項目提示した。

 訪日外国人の増加を後押しすることや地域の雇用拡大に貢献すること、交通の利便性確保などを確実に実施することを条件としている。

 昨年のIR整備法案の審議過程で指摘されたさまざまな懸念を払拭(ふっしょく)することができるのか。疑問符が付く内容だ。

 IR整備法では立地区域は最大3カ所となっており、国は国土交通省に有識者による審査委員会を設置し、来年中に選定する。

 基準にはギャンブル依存症の対策も「有害な影響の排除」として盛り込まれた。基本計画に費用も含め書き込むことを求めている。

 暴力団員や20歳未満のカジノ入場禁止、マネーロンダリング(資金洗浄)防止、日本人客を対象とした入場回数制限などを必須項目としている。

 日本人客の入場は「週3回、28日間で10回」とされるが実際には1回の入場で24時間滞在でき、日をまたげば週6日もカジノにいられることが国会審議で判明した。

 依存症の増加懸念は、カジノ解禁にあたり、最も議論が白熱した問題なのに、議論が深まっているようにはみえない。

 カジノ事業者が客に金を貸せる規定の問題も指摘された。客を借金漬けに追い込みかねない。競馬などの公営ギャンブルでは許されていない制度だ。

 悪質業者を本当に排除できるのかなど、疑問はいまも解消されていない。具体的な指針を示すべきではなかったか。自治体任せになっては困る。

 地域でIRについて十分な合意形成がなされていることも認定基準となる。

 現在、大阪府・市や横浜市、和歌山、長崎両県が誘致を表明し、北海道なども検討しているが、地域住民の多数が必ずしも誘致に賛成しているとはいえない。基本方針案を受け、新たに誘致を検討する自治体が現れる可能性がある。「十分な合意」とは何を意味するのか、国は考え方を示す必要ある。

 基本方針案の冒頭に、3大都市圏に集中している訪日外国人旅行者の分散促進をIRの狙いと明記する一方、「交通の利便性に優れていること」を評価基準にあげたのも理解に苦しむ。これでは結局、大都市圏が有利になるのではないか。