最大震度7を観測した北海道地震の発生から1年がたった。

 大規模な土砂崩れが起きた厚真町を中心に関連死3人を含め44人が死亡、785人が負傷し、道内で国内初の全域停電(ブラックアウト)に見舞われた。

 住宅被害の大きかった3町では、現在も425人が仮設住宅に身を寄せ、公営住宅や「みなし仮設」で仮住まいを続ける人も多い。

 被災者の生活再建と地域の復興を加速させると同時に、被害の教訓を今後の大地震への備えに生かしていきたい。

 北海道地震では広範囲で土砂崩れが起き、山裾の集落をのみこんだ。国土交通省の分析で崩落面積は推定約13・4平方キロと記録が残る明治以降最大で、火山灰などが積もった表層部が強い揺れで一気に崩れ落ちたとみられている。

 住宅近くで危険箇所とみられていた43カ所で崩れ、うち22カ所は土砂災害防止法で避難計画の策定を義務付けている「土砂災害警戒区域」に未指定だった。

 手続きの煩雑さや地価下落への懸念から、指定率は都道府県で差が大きい。警戒区域は大雨による土砂災害を想定していたが、地震被害の想定や対策を点検し、住民に周知して備えるべきだろう。

 未曽有の大停電は、道全域の約295万戸に及び、ほぼ復旧するまで約2日間かかった。

 最大の原因は、道内の電力需要の半分程度を賄っていた苫東厚真発電所が緊急停止したことだ。需給のバランスが崩れ、機器の故障を防ぐため他の発電所が連鎖的に停止する事態に陥った。

 信号機は消え、電話や電子決済が使えず、物流や工場生産もストップした。多くの病院は外来診療を縮小し、透析患者や妊婦らへの対応に綱渡りを迫られた。電力に依存した現代の都市や生活のもろさを突き付けたといえる。

 再発防止に向け、北海道電力は新設の火力発電所を稼働させて苫東厚真への依存度を下げ、本州との間の送電容量も地震時より1・5倍に強化した。

 電源の集中は効率が良いが、非常時には弱い構造だ。各地で水力、太陽光など再生可能エネルギーを活用した電源の分散化や「地産地消」の取り組みが求められよう。

 南海トラフ巨大地震では最大2930万戸が停電し、東海-九州の太平洋側を中心に約9割が停電すると想定されている。ライフラインの確保策とともに、私たちの暮らしや備えの在り方も見直していく必要があるだろう。