大阪・難波と関西空港を結ぶ南海電鉄の特急「ラピート」の台車に亀裂が見つかった問題。ふだん電車を利用する者として不安になってしまう。

 亀裂の原因がはっきり分かっていないからだ。

 京都、滋賀にはJRや近鉄、阪急、京阪などが走っているが、安心して乗車したい。

 鉄道は安全であってこそ。まずは台車亀裂の原因を徹底的に解明してほしい。そこから得た課題や教訓を鉄道各社が共有することで、安全安心への努力を新たにしてもらいたい。

 不安を感じたのは、南海の対応のせいでもある。先月24日未明に亀裂を発見したのに明らかにせず、2日後に国土交通省の運輸安全委員会が発表して初めて公になった。

 台車の亀裂は長さ約14センチに及び、同委員会は深刻な事故につながりかねない「重大インシデント」に認定した。派遣された鉄道事故調査官は台車を確認した後、「脱線につながる可能性もあった」と指摘している。

 しかし、南海は「お客さまにご心配をお掛けした」と謝罪したものの、「脱線の恐れはないと考えている」と反論し、重大インシデントの認定にも不満を示した。

 両者の認識に大きなずれが見える。南海の安全への姿勢が問われても仕方ないのでは。

 実は亀裂を発見した前日の夕方、車掌が異音に気づき、係員が乗り込んで点検したが、異常が見つからなかったとして、深夜まで走行を続けていた。回送先の車庫でモーター付近の亀裂を発見したというのだ。

 この後の緊急点検で、別の車両でも亀裂が見つかった。2017年と今年4月の点検でも発見しており、これらを含めると亀裂は車両4編成から9カ所、疑い1カ所となる。

 亀裂はモーターと台車をつなぐ溶接部分に多い。旧住友金属工業(現日本製鉄)製で、設計時の想定を超える力が加わったと説明したという。

 設計や製造過程に問題がなかったか、運輸安全委員会の調査を待ちたい。

 気になるのは、ラピート以外でも南海の通勤電車で過去に亀裂があったことだ。近畿運輸局には報告したというが、一般利用者にも点検結果や対処を公表していいのではないか。鉄道現場の緊張感は増し、利用者の信頼も得るはずだ。

 16年に東京の東武東上線で起きた脱線事故は、台車の亀裂が原因とされている。翌17年には博多発東京行きの新幹線のぞみが走行中、台車枠に亀裂が見つかった。破断寸前だったことが分かり、ぞっとした。

 新幹線の台車亀裂を受け、国交省の有識者検討会は昨年、輸送トラブル対策のあり方をまとめた。

 この中で超音波探傷検査など新しい検査法だけでなく、保守全体の課題を示している。車両や電気などの外部化が進み、保守技術の継承、人材の確保が難しくなっているという。

 鉄道の安全は、保守・点検に携わる「縁の下の力持ち」にかかっている。鉄道各社は先進的な取り組みの共有など、安全を優先した経営を進めてほしい。