ホテルシェルターを企画した龍崎社長。8日から運用を始めたホテルシー京都のフロントは、感染予防のためカーテンや扉などで2重に仕切っている(京都市南区)

ホテルシェルターを企画した龍崎社長。8日から運用を始めたホテルシー京都のフロントは、感染予防のためカーテンや扉などで2重に仕切っている(京都市南区)

 ホテルシェルターの利用者を受け入れるホテルシー京都の客室(京都市南区)

ホテルシェルターの利用者を受け入れるホテルシー京都の客室(京都市南区)

 新型コロナウイルス感染症が流行する中、京都のホテルに関わる企業が、家族などへの感染を懸念する人と、客室稼働率の低下に悩む宿泊施設をつなぐ試み「ホテルシェルター」を始めた。8日には京都市内のホテルでも運用が始まり、医療従事者などリスクを抱えながら勤務を続ける人たちに「シェルター(避難所)」としてホテルを役立ててもらう。

 宿泊施設・観光関連のシステム開発会社CHILLNN(チルン、京都市南区)の龍崎翔子社長(24)が企画した。感染予防のため、専門家の監修で運用上のガイドラインを作成し、関連会社が運営する大阪市内のホテルで5月1日に受け入れを始めている。

 京都では同社系列の「HOTEL SHE,KYOTO(ホテルシー京都)」(京都市南区)でスタートした。今後も順次、提携する宿泊施設を増やす予定で、龍崎社長は「家で過ごすことで生じる不安やストレスを軽減するため、ホテルを社会インフラとして役立てたい」と話す。

■新たな利用者発掘、提携望む声多数

 新型コロナウイルス対策で、周囲への感染を心配する人に居場所を提供する「ホテルシェルター」が、京都などで始まった。観光客の急減に直面する宿泊施設にとって、新たな利用者の発掘につながる利点もあり、多くの施設から提携希望が寄せられている。

 ホテルシェルターでは、医療従事者をはじめ、職場から出勤を求められている人、不特定多数の人と接するサービス業のスタッフなどの利用を想定。ほかにも、高齢の家族がいて不安を感じている人、家庭でトラブルを抱える人、子どもだけで留守番が必要なケースも受け入れていく。
 提携施設は、接客・対応は非対面で行い、建物をゾーニングしてスタッフと宿泊者の動線が重ならないようにするなど感染症専門医が監修したガイドラインに沿って感染予防に努める。宿泊料や利用条件は各施設が個別に設定する仕組みで、「HOTEL SHE,KYOTO」(ホテルシー京都、京都市南区)など系列2施設は、1泊1室3300円から。予約は7泊以上から受け付ける。

 コロナ禍で宿泊施設の経営環境は厳しさを増しており、京都市観光協会が発表した主要ホテルの宿泊状況によると、3月の稼働率は30・3%。政府の緊急事態宣言が出された4月はさらに低下が見込まれる。こうした状況を反映し、ホテルシェルターにはこれまで全国の約150施設から提携の希望があった。

 個人の予約や施設の提携希望はホテルシェルターのサイトで受け付ける。提携施設は5月15日以降、30カ所程度まで順次増やし、さらに拡大を目指す。
 物品提供など大手企業の協賛が得られ、自治体と連携する動きも進んでいる。企画したCHILLNN(チルン)の龍崎翔子社長は「コロナ禍で経営に苦しむホテルと、家族への感染や自宅での生活に不安を抱える人、両者に意義のある取り組みにしたい」と話す。