通院や待合室の混雑といった新型コロナウイルスの感染リスクを、確実に避けることができる。有効な対策の一つだといえるだろう。

 スマートフォンやタブレット端末など情報通信機器の画面を通して、医師が患者を治療するオンライン診療である。

 導入している医療機関の中には、感染拡大後、予約の急増しているところが少なくない。

 これまで認められていなかった初診でも、先月から患者が事前に同意すれば実施できる。

 新型コロナの緊急経済対策に盛り込まれ、公的医療保険の対象にもなった。

 じかに面談することのない診療となるので、医師と患者の双方に抵抗感が残るだろうが、新型コロナのまん延する現況では、受け入れていくしかあるまい。

 オンライン診療そのものは、最近になって急に現れたのではなく、以前からあった。

 国が、へき地や離島などへの導入を認めたのは1997年である。ところが、一般診療に取り入れられたのは、わずか5年前のことだった。

 2年前に策定された厚生労働省の指針でも、初診は対面で行うものとされている。

 触診や聴診などができないこともあって、医療現場では「誤った治療につながる恐れがある」との懸念が強く、厚労省も踏み込めなかったとみられる。

 こうした慎重な姿勢を一変させたのは、いうまでもなく新型コロナの出現である。

 オンライン診療なら、患者だけでなく、医療従事者の院内感染リスクも減らせる。医療崩壊を起こす可能性は低くなるはずだ。

 初診に用いるのは、感染拡大が収まるまでの時限措置だとされている。

 しかし今後、大きな問題が起きなかったならば、医療行為の選択肢の一つとして、不十分な点をよく理解しながら、続けていくべきではないか。もはや、後戻りはできないだろう。

 民間企業のアンケートでは、全国の病院で、オンライン診療を行うと答えたところは2割以下にとどまっている。多くは、院内の環境整備ができていないことを理由に、実施をためらうようだ。

 必要なシステムの導入や利用方法の周知を促すため、国などの支援が求められる。併せて、患者の成り済ましといった不正の防止策も講じておきたい。