渓谷に浮かび上がるリニューアルした天ケ瀬吊橋(京都府宇治市)

渓谷に浮かび上がるリニューアルした天ケ瀬吊橋(京都府宇治市)

橋の下部の桁や梁などは色目が濃いボンゴシが使われている

橋の下部の桁や梁などは色目が濃いボンゴシが使われている

 天ケ瀬ダムの下流約650メートルの宇治川にかかる「天ケ瀬吊(つり)橋」(宇治市宇治)が、老朽化した木の部材を取り換えてリニューアルした。第2次世界大戦中の1942年に当時の宇治町が「観光の新名所に」とかけた人道橋。25年ぶりの大規模修繕により真新しいヒノキなどで新装した姿が緑広がる渓谷に浮かび、ハイキング客らの目を引いている。

 天ケ瀬吊橋は長さ54メートル、幅2メートルで、両岸から直径5センチのワイヤ2本でつっている。今回の修繕は、通行に使われる踏み板や高欄を見た目も美しい京都府産のヒノキ、下部で橋を支える桁や梁(はり)は堅くて丈夫な西アフリカ産のボンゴシを使った。

 従来も同様の木材を使っていたが、1995年の大規模修繕から年月がたち、2018年の定期点検で雨や川からの湿気などが影響した腐朽が散見されていた。今年1月から4月上旬に全面通行止めにして工事した。工事費は国の交付金も含めて7600万円。

 4月13日から供用が再開され、市民らが散策を楽しんでいる。同市宇治から訪れた男性(72)は「リニューアル前も何度か訪れたことはあったが、さわやかなイメージに仕上がり、揺れも少なく心地よく歩けた」と笑顔だった。市維持課は「真新しい天然木ならではの手触りや香りを楽しんでほしい」とする。

 天ケ瀬吊橋は架橋後、戦時中に治安維持法違反容疑で逮捕されて獄死した韓国の詩人尹東柱(ユンドンジュ)が友人と訪れたほか、1950~60年に近くでトロッコ列車「おとぎ電車」が走ったり、53年の大水害では大破したりと、激動の歴史を刻んできている。