京都駅烏丸口のタクシー乗り場で客を待つタクシー。外出自粛により京都のタクシー業界は苦境に立たされている(京都市下京区)

京都駅烏丸口のタクシー乗り場で客を待つタクシー。外出自粛により京都のタクシー業界は苦境に立たされている(京都市下京区)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は4月16日に京都府を含む全国に緊急事態宣言を拡大した。観光客の激減に加え、外出自粛で地元住民の需要も消え、京都のタクシーはかつてない苦境に立たされている。公共交通の一翼を担い休業要請の対象外だが、自主的に休業する事業者もあり「終息まで持ちこたえられない」と悲痛な声が上がる。

 京都府タクシー協会(京都市伏見区)によると、京都市以南の加盟社を抽出して調べた営業収入は、2月が前年同月比15%減、3月は同46・5%減、4月前半は前年同期比73・3%減まで落ち込んでいる。普段は観光客や出張のビジネスマンでにぎわう京都駅八条口のタクシー乗り場では、5月1~6日の利用状況が前年同期比で93・1%減となった。同協会の兼元秀和会長は「タクシーに携わり40年ほどになるが、これほどの落ち込みは初めて」と話す。
 緊急事態宣言の対象地域拡大でさらなる需要減が見込まれることから各社は営業規模を縮小していて、大手の彌榮自動車(下京区)やエムケイ(南区)は、4月下旬からドライバーの出勤日数を減らしている。同協会によると、加盟社のうち5月1日時点で高速タクシー(伏見区)など5社の5営業所が完全休業している。27社が乗務員の出勤を減らしたりシフトを変更したりする部分的な休業を行っている。
 兼元会長が社長を務めるキャビック(右京区)では、110人を休業とし、人工透析患者の通院や介護タクシーに関わる60人のみを出勤としている。兼元会長は「ドライバーの感染リスクもあるが、タクシーには社会的な役割がある」とする。
 休業中の従業員に支払う休業手当は雇用調整助成金で一定割合がカバーされるが、特殊な勤務体系のタクシーは申請のハードルが高い。乗務員の賃金は固定給と歩合給の組み合わせで勤務時間も変則的なため、手当の算定が複雑になる。多くの事業者が手続きに不安を抱える一方、最近は行政の窓口が混雑し、相談の予約は1カ月先になるという。
 雇用調整助成金の支給は休業後となり、休業中でも車両や施設の維持管理費が重くのしかかる。売り上げ回復の見通しが立たない中、資金繰りは厳しさを増している。兼元会長は「どこまで落ち込むのか分からない。速やかな助成や融資で事業継続をしっかり担保してほしい」と望む。