きょうは「母の日」。コロナ禍の今年、花卉(かき)業界は「5月を母の月に」と呼び掛けている。注文や配送が1日に集中するのを避ける配慮と、長期化する自宅で過ごす日々を花で彩ってほしい、との願いからだ▼会って気持ちを伝えるのが一番の贈り物だが、今年は違う。感染リスクを減らすため、離れて暮らす高齢の母に会うのを避け、贈り物に心を託す人も多いことだろう▼諸説あるが、日本の母の日は米国に由来する。1907年5月12日、アンナ・ジャーヴィスという女性が福祉活動家の母アンを追悼する小さな会を開いた。彼女の運動をきっかけに14年、5月の第2日曜が米国の「母の日」と定められた▼感染症で幼い子どもを失ったアンは、ウェストバージニア州で母親たちによるボランティア団体を組織し、地域の公衆衛生向上や子どものいる家庭の医療支援に尽力した▼南北戦争では、北軍と南軍が駐屯する境界線だった同州で敵味方の関係なく負傷兵を看護したとされる。戦後は南北に分かれて戦った人々の和解を促す催しを開いた▼子どもたちのため、平和のためにと活動した母親たちの存在があったから、母の日制定への共感は全米に広がった。母の好んだカーネーションを飾って追悼したアンナの思いは時代も国も超えて受け継がれている。