竜のふすま絵の前で談笑する小野惠大住職(右)と絵師の福井安紀さん=京都市上京区・泉妙院

竜のふすま絵の前で談笑する小野惠大住職(右)と絵師の福井安紀さん=京都市上京区・泉妙院

 江戸時代中期を代表する絵師の尾形光琳・乾山兄弟ゆかりの寺として知られる京都市上京区の泉妙院本堂に、双竜のふすま絵が完成した。新型コロナウイルスを竜に洗い流してもらいたいという思いを込め、江戸期の絵師にあこがれる画家が筆を振った。

 描いたのは、京都の町絵師を名乗る福井安紀さん(49)=京都府宇治市。依頼者から注文を受け、ふすまなどに絵を描く活動を行っている。

 双竜図は、黒の水性塗料を用いて濃淡をつけることで、本堂の6枚のふすまに2頭の竜を描いた。構図は尾形光琳の代表作「紅白梅図屏風(びょうぶ)」をオマージュ。左右の竜の体は梅の木にならい、光琳独特の水紋も表現した。ふすまの奥には本尊があり、絵の真ん中に空白を作ることでその存在感も演出したという。

 尾形家の菩提(ぼだい)寺である泉妙院は21年の間、寺を閉めていたが、住職の小野惠大さん(61)が昨年再開。妻の佳代子さん(55)が、再開の記念となるものを探していたところ、たまたま立ち寄ったギャラリーで福井さんが主宰する「ふすま絵プロジェクト」の存在を知った。ウイルスの影響で暗い雰囲気に包まれる中、エネルギーのあるものを描いてほしいと即座に依頼したという。

 小野住職は「水の神である竜にコロナ禍を清めてもらうよう祈念した」と話す。コロナの影響で現在は開放していないが、6月2日の光琳の命日には公開を予定している。