新緑が輝く下鴨神社糺の森に野鳥の歌声が響く季節になった。例年なら周辺を包む喧噪(けんそう)はコロナ禍でやみ、国内外から訪れる観光客のおしゃべりも聞こえないのが寂しい▼お国言葉といえば、鳥のさえずりにも方言があるらしい。生物学者で日本野鳥の会京都支部初代支部長の川村多実二は著書「鳥の歌の科学」でヒヨドリの声の地域差について京都や南紀白浜、札幌、奄美大島などでの例を挙げて多彩な音色を紹介した▼こんな研究結果もある。京都出身の動物行動学者小西正一氏によると、同じキクイタダキでもドイツの個体のさえずりをスペインの個体に聞かせても反応がなかったり、英国からニュージーランドに持ち込まれたズアオアトリは数世代を経ても本国の鳴き声に似るという。同会京都支部の会報で知った▼鳥のさえずりは主に雄から雌への求愛歌という。不思議な部分も多いが、環境の影響や地域での継承が人間の方言と重なるのが面白い▼コロナ自粛が続き、社会の至るところで閑古鳥が鳴いている。<憂き我をさびしがらせよ閑古鳥>芭蕉。カッコウの声に孤独を重ねた句も昨今は異なる趣を持つ▼一方、欧米では喧噪が消えた街で鳥のさえずりが増えたという報告が相次ぐ。16日まで愛鳥週間。羽根を持つ隣人との間柄に思いを巡らせる。