政府は新型コロナウイルスへの重点対策が必要な13の「特定警戒都道府県」以外の34県について、5月末までの緊急事態宣言を前倒しで解除する検討に入った。

 安倍晋三首相は14日に専門家の意見を踏まえ、一部解除が可能かどうか発表すると表明した。

 解除の条件として、感染状況、医療提供体制、モニタリング体制の三つを重視する見通しで、対象地域を決めるための基準づくりを急ぐという。

 西村康稔経済再生担当相は、5月末までには全国で収束させたいとしている。特定警戒都道府県についても、新規感染者の数などが著しく改善していれば解除を視野に入れる考えだ。

 国内の1日当たりの新規感染者数が100人前後に落ち着いてきているのは確かだ。一方で外出自粛要請や休業要請が長引き、国民生活や経済への影響は大きい。

 ただ、解除はウイルス流行の終息とイコールではない。各国で規制緩和の動きが出ているが、判断は容易ではない。

 ウイルス封じ込めの「模範」とされてきた韓国で政府が感染防止策を緩めた直後にクラブでの集団感染が発覚した。国内でも北海道で感染が再燃した例がある。

 政府はいたずらに解除に前のめりにならず、各国の取り組みも参考に十分な根拠に基づいた判断と納得のいく説明をしてほしい。

 欠かせないのは、流行の再燃を抑える態勢を整えておくことだ。密閉、密集、密接の3密を避ける生活様式やそれを支える社会の仕組みをどうつくるかが問われる。「緩み」を招かないための注意喚起も必要だろう。

 そうした中で気がかりなのは、大規模イベントやライブハウス、接客を伴う飲食店など感染リスクの高い場所の扱いだ。

 当面は休業要請が続くと予想され、補償拡充などの支援策、さらには長期的な対応について各業界などと議論を進めるべきだ。

 首相は国内の感染拡大について「終息への道を着実に進むことができている」との認識を示したが、PCR検査など基本的な態勢確立を急がなくてはならない。

 共同通信社の全国世論調査で、新型コロナへの政府対応を「評価しない」との回答は6割近くを占めている。

 対策の長期化は覚悟しなければならない。諸課題の解決に明確な見通しをつけ、国民の不安を少しでも取り除く努力が必要ではないか。