一枚の写真がある。両手でVサインをつくる彼女は優しい笑顔を浮かべている。全国女子駅伝を走った仲間や指導陣と一緒で楽しそうだ。2年前、駅伝発祥100年を祝う会で京都OGたちが集まった▼笑っているのは昨年10月に乳がんで亡くなった真木和(いずみ)さん。1989年から3年連続で京都チームの優勝ゴールテープを切った。五輪は2度出場。でも、京都に来たときは一人の無名ランナーだった▼愛媛で育ち、憧れのケーキ職人になろうと京都の喫茶店に就職予定だった。それが「陸上を続けたい」との思いが募り、強豪のワコールへ。努力を重ね、強くなった▼きょう号砲が響く全国女子駅伝は東京五輪を来年に控え、豪華な顔ぶれがそろった。9月のマラソン代表選考レースへの出場権を持つ選手も7人。五輪への熾烈(しれつ)な競争はもう始まっている▼だが、大半はこれから羽ばたこうとしている若手たちだ。過去に出場した先輩たちも好走すれば自信をつかみ、悔しさを味わえば次へのバネにしてきた。ひたむきな挑戦を都大路は見届けてきた▼49歳で旅立った真木さん。真っすぐ前だけを見て走り続けた彼女の思いがたすきに乗り、次の世代へリレーされていけば。未来に向けて、夢中で駆けていく若いランナーの奮闘を遠い空から見守っているはずだ。