商品をエコバッグに詰め替える買い物客。亀岡市の打ち出す全国初のプラスチック製レジ袋提供禁止条例の行方は(亀岡市内のスーパー)

商品をエコバッグに詰め替える買い物客。亀岡市の打ち出す全国初のプラスチック製レジ袋提供禁止条例の行方は(亀岡市内のスーパー)

 拙速だと言うつもりはない。ただ、全国初の規制をするにしては、あまりに準備が不足しているのではないか。

 亀岡市は昨年末、プラスチック製レジ袋の提供禁止条例を制定すると表明した。違反店舗を公表する「罰則」も設ける。ごみであふれる保津川の景観保全が目的で、世界的に遅れている日本政府に「一石を投じる」(桂川孝裕市長)という意志も感じる。理念は素晴らしい。だが、市が目標とする施行時期まで1年に迫っても、市民に理解が広がっているとは言い難い。 

 理由は、説明不足に尽きる。市は紙袋への転換でコスト高になる零細店を支援するため、店舗による共同購入を打ち出した。しかし、具体的な仕組みは詰まらず、7月下旬、条例案を議論する協議会で不満が噴出。事業者には「半年間、市は何をやっていたのか」との不信感がある。理念のPRには熱心だが、バッグを持参しない客への対応といった肝心な課題の解決に、道筋は見えない。 

 買い物客にも周知は進んでいないようだ。今月、市内で開かれたエコバッグ作りの催しで、主催者が参加者に聞いたところ、大半が条例化を知らなかった。記者は1週間、レジ袋のない生活を体験し、生ごみの防臭にレジ袋が役立っていたとの課題を報じたが、読者から「新聞紙に包んで酢を掛ける」「食パンの袋を再利用する」などの助言を複数いただいた。市民団体と連携し、新たなライフスタイルを提案する地道な広報活動がもっと必要ではないか。 

 準備が進まない背景には、市の組織体制もあるだろう。京都市が全国初の政策を実施する際、四条通の歩道拡幅では歩くまち京都推進室を新設、建築物の高さ規制を厳格化した新景観政策では専門職員を臨時採用し、社会実験や説明会を繰り返して理解を求めた。一方、亀岡市では主担当の環境政策課の正職員は13人で、本年度1人しか増員されなかった。同課はアユモドキ保全や火葬場新設にも追われる。社会実験の予定はなく、市民説明会も未開催だ。 

 以前、理念先行で実効性が伴わない事例を取材した経験がある。府は2006年度施行の地球温暖化対策条例で、自動車停車中のエンジン停止(アイドリング・ストップ)を義務化し、違反者の氏名公表という「罰則」を設けた。だが、猛暑日はどうするのかなど代替案を示さず、公用車でさえ徹底されていなかった。取り締まりは不十分で、今も氏名公表はない。結局、珍しい条例を制定した、という事実だけが残った。 

 亀岡市が条例化を表明して以降、近隣市に比べ遅れていたスーパーのレジ袋有料化が進み、タクシー会社が乗客へのエコバッグの無料配布を予定するなど脱プラ活動が波及、規制前から効果は現れている。他都市からの視察も相次ぎ、成功すれば全国モデルになるだろう。ただ、失敗すれば先駆的な政策の芽を摘んでしまう恐れもある。 

 市は、レジ袋禁止後の代替策を含め、市民や店舗はどんな対応をすればよいか、早急に示すべきだ。市民からアイデアを募ることも一案だろう。「世界がやっているから、亀岡市民もやりなさい」だけでは、理解は深まらない。