日韓関係の悪化が、安全保障の領域にも色濃く表れている。

 先週の閣議で報告された2019年版防衛白書は、同盟国の米国を除く各国との交流をまとめた章で、韓国の記載順を前年の2番目から4番目に引き下げた。

 記載順は、日本の安全保障にとっての重要度を、そのまま反映しているとされる。

 今年8月に、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄を決めた韓国に対し、厳しい態度で臨む立場を明確にしたといえよう。

 協定破棄は、日本だけでなく米国も望んでおらず、東アジア地域の安全保障にとって、好ましいことではない。

 とはいえ、不満をあからさまにすると、事態は不透明さを増すばかりではないか。

 防衛白書は、防衛政策や各国との交流の現状を、国民に伝えるため、年に1度発行されている。

 19年版は、昨年の「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の策定後、初めてまとめられたものとなる。

 大綱に沿い、宇宙やサイバーなど新領域を重視し、監視能力を着実に強化することや、離島防衛を念頭に、護衛艦を事実上、空母化する意義などを明記した。

 これらの施策は、防衛費のさらなる膨張を招く。今後、国会で議論を尽くすことが肝要だ。

 韓国の記載順が変わったのは、「安全保障協力」の章である。

 前年はオーストラリアの次に登場したが、今年は「インドなど」「東南アジア諸国連合(ASEAN)」の次に紹介された。

 白書は、昨年の火器管制レーダー照射問題などを例示しながら、「否定的な対応などが日韓の防衛協力・交流に影響を及ぼしている」と批判し、「引き続き適切な対応を求めていく」とした。

 防衛省は、今月の海上自衛隊観艦式に韓国海軍を招待せず、韓国側との交流は当面、困難だとみている。

 関係改善に向けた手掛かりが、双方に見当たらないのは残念だ。

 北朝鮮は核兵器の小型化・弾頭化を実現したとみられており、中国の海洋進出も懸念される。

 日本海上空で、爆撃機を共同飛行させた中国とロシアの行為は、日韓関係の悪化を、見透かしているようにみえる。

 白書でも触れているが、東アジア地域の安定には、日米韓の連携を強固にするしかないことを、忘れてはならない。