緊急事態宣言の発令で休業する店舗も多く、閑散としている祇園一帯(4月19日、京都市東山区)

緊急事態宣言の発令で休業する店舗も多く、閑散としている祇園一帯(4月19日、京都市東山区)

 「まるでゴーストタウンのようだ」「どこまで辛抱できるかはもう運任せ」「従業員の生活だけは守りたい」―。

 新型コロナウイルスの直撃で人影の消えた京都・祇園を訪れると、飲食店主らは口々に現在の窮状を語った。売り上げが前年同月から9割減った店も少なくなく、売上票をめくるたびに閉店の選択が脳裏をよぎるという。

 中国・武漢市が「原因不明の肺炎」の存在を公表したのが昨年末。国内で感染者が初めて見つかったのは1月15日で、同30日には京都市でも発症者が確認された。感染者数は増え、2月末には安倍晋三首相が小中高校などの全国一斉休校を要請。それでも感染拡大に歯止めはかからず、国民の不安は高まり続けた。

 緊急事態宣言が東京や大阪など7都府県に発令されたのが4月7日。程なく京都でも商業施設の「休業ドミノ」が起きた。ジェイアール京都伊勢丹が12日からの全館休館を決定。京都高島屋、大丸京都店は食料品の「デパ地下」を除いて休業するなど追随し、両店の4月の売上高は前年比で7割程度減少する大幅下落。多くの従業員が一時帰休を余儀なくされ、「早く普通の仕事がしたい」との悲痛な声が漏れる。

 国内総生産(GDP)の4~6月期成長率のマイナス幅は30%を超えるとの観測もある中、政府は、企業などへのさまざまな支援策を盛り込んだ総事業費117・1兆円の緊急経済対策を打ち出した。

 しかし、スピード不足への不満は各所で高まる。「とにかく早く現金が手元に渡るようにして」。京都市内で和食店を営む男性(24)は訴える。支援制度に関する政府のコールセンターでさえ電話がつながるまでに半月以上を要したという。雇用調整助成金などの支援や融資は「大量の記入書類が壁になって諦める人も多い。使いやすいようにせめて書類の書式を統一してほしい」。

 りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員も「支給に日数のかかる従来の手続きは、緊急時に合っていない」と指摘。オンライン申請の一層の拡大による簡略化に加え、担当の窓口職員の増員を検討する必要性を語る。

 飲食店の営業自粛で売り上げが激減した食品会社の幹部が、取材時に発した一言が印象に残っている。「朝起きたら『全部夢だったのかな』と思ってしまう。それが今の現実だ」

 政府が緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大し、16日で1カ月を迎える。中小企業が保有する手元の現預金は運転資金の1~2カ月分と言われ、月末期日の支払いが滞れば経営破綻につながる。大津市の「ロイヤルオークホテル」など、京滋でも宿泊施設を中心に自己破産や事業停止が広がりつつある。コロナ禍の悪夢が招く廃業連鎖の危機はもう始まっている。