かんぽ生命保険の不正販売で、日本郵政グループが自ら行っている調査の中間報告を発表した。

 2014~18年度に保険業法などの法令や社内規定に違反する疑いのある契約は6300件余りに上り、うち約1400件は法令違反の可能性があるという。

 保険料を二重払いさせられたなどの不利益解消を求める人は2万6千人を上回っている。

 調査を終えたのは不利益を与えた疑いがあるとして公表した約18万3千件の4割弱。残りの調査次第では、違反の疑いがある案件はさらに増える可能性がある。

 国の信用力を背景にしながら、損害を与えた顧客の数はあまりに多い。不信感はさらに深まった。

 外部有識者でつくる日本郵政の特別調査委員会は、営業現場に実力に見合わない目標金額が設けられ、ノルマ達成のため一部で「どう喝指導」と称する不適切な教育があったと指摘している。

 顧客の利益を考慮せず、組織的に不正に手を染めていたと疑われている。保険商品を扱う資格があるかどうかが問われる事態だ。

 深刻なのは、日本郵政グループの企業統治のずさんさだ。

 かんぽ生命と、保険の販売を委託された日本郵便は、苦情や内部告発があった場合に社内調査をしてきたが、法令違反と認定して18年度に金融庁に届け出たのは22件にとどまった。年間の苦情は数千件に上るといい、顧客の声を無視していたと言われても仕方ない。

 経営陣にも危機感が乏しい。

 金融庁は9月中旬からかんぽ生命と日本郵便への立ち入り検査を行っているが、かんぽ生命は検査継続中にもかかわらず、10月からの保険販売再開を計画していた。

 批判が強まって再開は延期となったが、不正の原因究明や業務改善の方向性を示すよりも営業体制を通常に戻すことを優先しようとした姿勢は理解しがたい。

 グループトップの長門正貢・日本郵政社長は会見で「取締役会に全く情報が上がってきていなかった」と釈明、不正の要因とされる過剰なノルマについても「無理な数字を置いた自覚はなかった」と述べた。経営サイドと現場の距離感の大きさを浮き彫りにした。

 郵政グループは、不利益を与えた顧客には保険料返金などの補償に応じるという。金融知識に乏しい顧客にも丁寧に対応すべきだ。

 長期間にわたって組織的な不正を見過ごしてきた経営陣の責任は重い。けじめをつけなければ信頼は容易には取り戻せまい。