検査を広げ、感染実態を広く把握するきっかけになるだろうか。

 厚生労働省が、新型コロナウイルス感染の疑われる人が「帰国者・接触者相談センター」への相談を通じて専門外来を受診する目安を見直した。

 従来の目安では、風邪症状や37・5度以上の発熱が4日以上続けば保健所の相談センターを通じ専門外来を受診、医師の判断でPCR検査の対象になるとされてきた。

 その目安から「37・5度以上」を削除し、発熱やせきなど軽い風邪の症状が続けば相談を促すことにした。

 さらに、高熱や強いだるさ、息苦しさがある場合や、重症化のリスクがある人、妊娠中の人は、すぐに相談してもらうとした。

 大きな方針転換である。

 軽症者が医療機関に殺到するのを防いで重症者を早く見つける。それが当初、目安を設けた狙いだった。

 だが、相談しても目安を満たさないために検査を受けるべき人が受診できなかったり、軽症が急に重症化する例が出たりしたことが今回の変更の背景にある。

 厚労省はあくまで目安にすぎなかったものが「基準」のように扱われたというが、日々判断に迫られる現場では無理からぬことだ。

 政府は14日にも緊急事態宣言を一部解除する見通しだが、相談・受診の間口を広げても、肝心のPCR検査の拡充が伴わなければ問題の解決につながらない。

 PCR検査は鼻の粘膜などの検体を採取し、ウイルス特有の遺伝子を調べる。今回の流行でも主要な検査方法となっている。

 ただ日本の検査数は千人当たり1・8人と、経済開発協力機構(OECD)加盟国の平均の1割にも満たない。1日当たりの検査数も、政府が掲げる2万件に遠く及ばず9千件程度にとどまる。

 要因の一つに、電話相談や検体搬送など検査に関わる業務が保健所に集中したことがある。

 共同通信が4月に実施したアンケートでは、保健所35カ所の9割が「限界ぎりぎりで対応している」などとし、理由に相談件数の多さや人員不足を挙げた。まずはそれらの改善を急ぐべきだ。

 検査を迅速に進めるため、病院の敷地内などに発熱外来を設けたり、ドライブスルー方式で検体を採取したりする取り組みも各地で始まっている。

 医療崩壊を避けつつ、入院や療養までを含めた総合的な検査体制を早く整えたい。