通りを挟んで東西で建築物のデザイン基準が異なる醒ケ井通。東(写真右)側が「旧市街地型美観地区」で、西側が「沿道型美観地区」(京都市下京区醒ケ井通四条下ル)

通りを挟んで東西で建築物のデザイン基準が異なる醒ケ井通。東(写真右)側が「旧市街地型美観地区」で、西側が「沿道型美観地区」(京都市下京区醒ケ井通四条下ル)

通りを挟んで建物のデザイン規制が異なる区間

通りを挟んで建物のデザイン規制が異なる区間

 通りの右側は京町家、左側はマンション-。京都市中心部で幹線道路から1本入った通りの右左を見比べると、町並みがどことなく違う場所がいくつかある。実はこれ、市が12年前に始めた景観政策の規制強化で、建物のデザイン基準の境界線を通り上に引いたためにできた光景だ。通りに向かい合う家々でつくる「両側町」で調和がとれていない現状を改善しようと、市は境界線の見直しに乗り出した。

 下京区の醒ケ井通。マンションやホテルが立ち並ぶ堀川通の一筋東に位置する。東側は京町家など戸建てが軒を連ねる一方、西側は堀川通に玄関を構えるマンションやビルの裏口のほか、デザイン性の高い住宅が目立つ。

 通りの東側は市が景観政策で設定した「旧市街地型美観地区」、西側は「沿道型美観地区」で、デザイン基準が異なるためこのような現象が起きる。旧市街地型では京町家などと調和するよう道路側の1、2階に軒ひさしを設けなければならないが、沿道型では不要だ。旧市街地型では3階以上の外壁を下の階より90センチ後退させることも求められる。醒ケ井通沿いに住む50代女性に話すと、「初めてそんな規制があると知った」と驚いた。

 なぜ通り上に境界線が設けられたのか。市は2007年に高さ規制などを強化した「新景観政策」で、建物デザインは市域の一部を8地区に分けて規制に緩急をつけた。地区の境界線は「幹線道路から数メートル」としたため、一部で道路上が境目となった。二条城(中京区)北側の葭屋(よしや)町通や烏丸通の1本東の車屋町通、市役所(同)にほど近い新椹木(しんさわらぎ)町通など計六つの通りで、同じ理由により似たような光景が見られる。

 市は昨年7月に設置した有識者らでつくる「新景観政策の更なる進化検討委員会」でこの問題を提起。「通り景観はバランスがあって当たり前」などと見直しに肯定的な意見が目立ったが、「優れたデザインの近代建築と木造建築の絶妙なコントラストを生み出せば新しい町にもなる」と否定的な声もあった。

 市景観政策課は、市中心部で室町期以降、「両側町」が住民自治の基盤となってきた歴史に触れ、「今までは幹線道路からの眺望を優先していたが、今後は両側町の景観に配慮したい」と説明する。

 市は通りの両側で同一の基準が適用されるよう境界線を幹線道路側に十数メートルずらす方針で、6~7月に市民意見募集を行った。

 ただ、建物のデザイン規制について知る市民は多くない。地域によっては事実上の規制強化に当たり、建て替えの際に新たに軒ひさしを設けなければならず、延べ床面積の減少を強いられる可能性もある。市は市民への丁寧な説明が求められる。