追悼法要で手を合わせる信楽高原鉄道の正木社長(右)とJR西日本の長谷川社長(左)=14日午前10時48分、甲賀市信楽町黄瀬 代表撮影

追悼法要で手を合わせる信楽高原鉄道の正木社長(右)とJR西日本の長谷川社長(左)=14日午前10時48分、甲賀市信楽町黄瀬 代表撮影

 信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の列車が正面衝突し、42人が亡くなった事故から29年がたった14日、滋賀県甲賀市信楽町黄瀬の事故現場脇にある慰霊碑前で追悼法要が営まれた。初めて遺族の参列がなく、事故を機に結成された鉄道安全推進会議(TASK)も昨年6月に解散。課題となる事故の記憶と教訓の継承に、参列者が決意を新たにした。

 新型コロナウイルスの影響から6人にとどまった法要の参列者には、TASKの共同代表だった下村誠治さん(61)の姿があった。記憶の風化は「仕方がない」と捉えるが、「こうした行事を通じて、安全文化、遺族に対する思いを鉄道事業者に持ってもらうのが大事だ」と話した。自身は公共交通事故の被害者支援のため、TASK解散後も国土交通省内の組織を通じて活動を続ける。
 「遺族の故吉崎俊三さんから、追悼法要継続への思いを何度も聞いている」。SKRの正木仙治郎社長は、事故30年となる来年以降もJR西とともに法要を続ける意向を示した。「新型コロナで参列者を減らしたが、来年には大勢の方に参ってもらうようにしたい。安全運行は鉄道の使命。遺族に報いるためにも努力する」と述べた。
 JR西の長谷川一明社長は「改めて安全の大切さを認識した。世代を超えて引き継ぎたい」と意義を強調した。新型コロナの影響による乗客減で経営は厳しいが、「こういう時こそ前を向いて安全に取り組む」と語った。
 新型コロナの感染予防のため、法要は縮小、一部簡素化され、SKRとJR西の両社長による追悼の言葉は慰霊碑にささげるだけだった。自由献花も昨年の3分の1の20人にとどまった。