Zoomを使って一斉に腕立て伏せに取り組む京都成章高野球部

Zoomを使って一斉に腕立て伏せに取り組む京都成章高野球部

 新型コロナウイルスの影響で高校や中学の部活動もストップする中、オンラインで活動を模索する動きが広がっている。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」や、無料通信アプリ「LINE(ライン)」、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」などを使って選手間でミーティングしたり、自主練習したり。全体でトレーニングができなくとも、工夫を凝らして力を伸ばそうとする京都・滋賀の生徒たちを紹介する。

■野球部 「休校中も成長する時間に」

 京都成章高の野球部は5月から、1学年ずつ日替わりで「Zoom」を使って活動している。2年生がオンラインでトレーニングする様子を取材するため、パソコン上で記者も参加させてもらった。
 13日午後5時。2年生約60人が3グループに分かれ、体幹を鍛えるトレーニングなどに取り組んだ。選手はそれぞれの自宅で、スマートフォンやタブレット端末を自撮りするようにセット。画面には約20人と松井常夫監督が同時に表示された。
 選手の代表が「1、2、3」と力強くかけ声を上げる中、全員で腹筋や腕立て伏せ、倒立などのメニューを休息を交えながら次々とこなした。松井監督は「全身をちゃんと映して」と全員の映像に目を光らせながら、「もっと早く」「頑張れ」と励ました。
 30分ほど汗をかき、最後に画面上の全員が両手の親指を立てて「いいね」と声をそろえる野球部恒例のポーズで締めた。2年生の学年リーダー嵓(いわお)康介さんは「みんなで一緒にやる方が負けたくないと思って気持ちが入る。休校中も成長する時間にしたい」と話す。
 松井監督は「選手は慣れてきた。今のうちに、野球のベースとなる体づくりをしたい。私もこんな手法があるのかと発見があった。学校での練習が再開された後もオンラインは生かせると思う」と語る。
 記者は、互いに映像や音声がはっきり共有できることに驚いた。オンラインが、チームの一体感を支えていると感じた。

■サッカー 週1回、趣味や体調も近況報告

 立命館高サッカー部は、「Zoom」を使い、4月から週1回、部員と顧問らが学年別のミーティングを開き、近況を語り合っている。
 起床や就寝、勉強、運動の時間を報告するだけでなく、趣味や挑戦しているテーマを話すことも。部員の居住地が他府県にまたがり、屋外でトレーニングできる環境も異なるため、体力や技術向上よりも、部員自身の自立を見据えている。
 3年森田祐慈主将は、苦手な柔軟性向上を目標にし、毎回報告する。触発された他の部員もストレッチを始めたといい、「自分だけではなかなか続かない。みんなの気持ちも分かるし、顔を合わせて話せるとやる気も起こる」と話す。他の部員は生活リズムの改善にもつながったという。
 他にも読書や食事などテーマはさまざまで、田中京平顧問は「収束の先が見えない中、ノルマだけでは長続きしない。自主的に生活を作れる方が大切」と意義を語る。

■ラグビー 「声聞けば気持ち変わる」

 京都工学院高ラグビー部は4月以降、全員に配備されているタブレット端末を通じ、日々の健康観察や体重測定、自主トレーニングなどの活動報告を続けてきた。
 緊急事態宣言の延長が発表された後は、「端末でのやりとりだけではもの足りない。顔を見たいし、声を聞けば気持ちも変わる」(大島淳史監督)と「Zoom」を活用。複数の学年リーダーを集めたミーティングをはじめ、学年ごとに参加するオンライントレーニングを実施した。
 14日には、昼に3年生26人が一つの画面に集い、同時に腕立て伏せやスクワットをするなど明るい雰囲気で汗を流した。大島監督は「久しぶりに顔を見てのトレーニングだったので自然と笑顔になった。良い時間を共有できた」と話した。

■レスリング トップ選手の動画「技術参考に」

 今年初めて全国高校選抜大会への出場権を得た日星高レスリング部は、部内で作ったLINEのグループでトップ選手の試合動画をアップしている。
 軽量級の乙黒拓斗や柔道の重量級選手の動画を紹介した三村和人監督は「階級や部員の持ち味によって覚えてほしい技は違う。技術展開を参考にしてほしい」と語る。他にも、自主トレーニングのメニューや食事のアドバイスもしている。
 日本協会は、東京五輪出場を狙う高谷惣亮(網野高―拓大出)や世界王者の太田忍らトップ選手がSNSに投稿したトレーニング動画などを紹介し、学生レスラーたちが参考にしているという。

■水泳 日誌を写真で送信「状況可視化」

 京都外大西高の水泳部は、LINEで情報を共有している。全選手が毎日、練習日誌を写真で撮影し、各学年でリーダーとなる選手に送信。リーダーがアルバム形式にまとめ、指導陣に送っている。
 3月に休校が決まると「生徒の状況を把握するために可視化する方法をすぐに取った」と戸谷重徳監督。起床時間が遅くなったり、体重が増えたりした選手がいてもアドバイスができるという。
 インターハイ(IH)の中止が決まった直後は、全員の日誌を見られるようにした。戸谷監督は「毎年5~8月は毎日ミーティングを重ねることで、選手が大きく成長する時期。こんな状況でも、3年生のIHへの熱い思いを全体で共有できた」と意義を語る。

■陸上女子 朝5時50分に会合「生活習慣整える」

 京都外大西高の陸上部女子は、中・長距離部員19人が毎朝午前5時50分に「Zoom」を活用してミーティングを行っている。
 過去のレース動画を見ながら力を発揮するために何が必要かを話し合い、モチベーションを高めうことも。休校の影響で生活リズムが崩れる選手が出たことから、西嶌凜主将が提案し、4月中旬から続けている。
 藤井勘太監督は「生活習慣を整えるには早起きが大切。朝に部員同士で連絡を取り合うようになり、寝坊する選手もいなくなった」と効果を実感している。