「多頭飼育崩壊」で保護した猫の写真を手にする大西結衣さん。後ろのケージには最後の1匹がおり、里親を募集している(京都市中京区)

「多頭飼育崩壊」で保護した猫の写真を手にする大西結衣さん。後ろのケージには最後の1匹がおり、里親を募集している(京都市中京区)

犬猫の譲渡会で来場者に説明する大西結衣さん。活動の理念に賛同する一念寺で定期的に開かれ、殺処分の実態を伝える展示や関連本なども充実する(2月23日、下京区)

犬猫の譲渡会で来場者に説明する大西結衣さん。活動の理念に賛同する一念寺で定期的に開かれ、殺処分の実態を伝える展示や関連本なども充実する(2月23日、下京区)

 衝撃的な光景だった。3月下旬、京都市内の空き家に足を踏み入れると、そこは「猫屋敷」と化していた。汚物が散乱し、ガリガリにやせ細った17匹もの猫を確認。飼い主は放置したまま引っ越したとみられ、「多頭飼育崩壊」が起きていた。防護服を着ての作業は10時間以上におよび、保護団体とも連携して感染症検査や不妊手術、一時保護へとつなげた。「心身ともに厳しい。でも、こうした現場は氷山の一角に過ぎないんです」と、「Pawer.」代表の大西結衣さん(34)=京都市中京区=は語る。

 動物の命や尊厳を守り、人との幸せな関係を築ける社会に―。そんな思いから2016年に動物福祉団体「Pawer」を設立。犬猫の過剰繁殖や虐待現場に赴く一方、新しい飼い主である「里親さん」との橋渡し役も務める。

 京都市出身で、幼い頃から動物の世話が好きだった。米国での学生時代、動物保護施設でボランティアをする中で特に親しかった犬が殺処分に。目の前の命を救えなかった悲しみや後悔が活動の原点だ。

 18年度に国内で殺処分された犬猫は約3万8千匹。年々減ってはいるが「殺処分ゼロは通過点。根本は施設での収容数を減らすこと」と強調する。背景には飼育放棄やペット店での売れ残り、野外繁殖などがあり、特に猫は繁殖力が高く、不妊手術が欠かせない、という。

 教育現場にも出向き、豊富な経験を交え犬猫の現状やペットを飼う心構えを伝える。「『かわいい』『欲しい』など、その場の感情に走らず、飼い続けられるのか冷静に考えて」。費用や生活の変化、家族の理解など、平均寿命が10数年の犬猫を最期まで見届けるには長くて広い視野が求められる。米国では保護施設から譲り受けるのが一般的で「ペット産業が盛んな日本でも里親という選択肢に目を向けてほしい」と呼び掛ける。

 最近は、新型コロナウイルスの影響で譲渡会が中止になり、保護活動にも支障が出ている。「経済苦で捨てられるペットの増加が心配。次の飼い主が見つかるまで一時的に保護する『預かりさん』も大変ありがたいです」。目の前、そして未来の命を救うため、厳しい現実と日々向き合う。