田村秀子院長(右)が2014年から活用するオンライン診療システム=京都市中京区

田村秀子院長(右)が2014年から活用するオンライン診療システム=京都市中京区

 新型コロナウイルスの院内感染防止のため、厚生労働省が電話やスマートフォンなどによる診療を、初診を含めて全面解禁した。自宅で受診できるなどのメリットがある一方、見切り発車を受けた現場の医師からは、院内で対面診療をせずに正確な診断ができるかなど不安の声も出ている。

■「なし崩しでは危ない」

 電話・オンライン診療は、対応できる医療機関に事前に予約し、電話やスマホのアプリなどを用いて受診し、必要なら薬が処方される。医療機関への来訪を求められることもある。
 厚労省はこれまで、重症化や病気見逃しリスクがあるとして、初診は禁煙外来と緊急避妊薬処方に限り、糖尿病などの進行の緩やかな慢性疾患の再診について認めていた。新型コロナ感染拡大を受け、一時的に全面解禁し、ホームページに対応する医療機関の一覧を載せて利用を呼び掛けている。

 「渡辺医院」(京都市北区)は6月から、内科などの外来にオンライン診療を導入する。渡辺康介理事長(71)は「患者が感染を怖がって外来に来ない。慢性疾患のある人が通院せず悪化させることは避けたい」と話す。伏見区の内科クリニックも「受診のハードルを下げる」と4月からスタートさせた。
 受診者の利便性の高さから継続を求める声もあるが、「よしき往診クリニック」(西京区)の守上佳樹院長(40)は「患者にじかに触れない診察は確実に質が下がる。なし崩し的にかじを切るのは危ない」とする。

■「責任の重さに不安」

 電話・オンライン診療で新型コロナ感染が疑われる症状のある人が相談することもできる。医師は帰国者・接触者外来を直接紹介することはできないが、帰国者・接触者相談センターなどに連絡すべき症状かどうかを助言できる。
 しかし、新型コロナは急に重症化して死亡する例が相次いでいる。日本遠隔医療学会の分科会役員を務めている「田村秀子婦人科医院」(中京区)の田村秀子院長(65)は「対面での診察ですら自宅療養とした後に死亡する例もある。問診だけで判断する責任の重さに内科医らの不安が高まっている」と指摘する。
 田村院長は、画面越しの問診や情報セキュリティーなど「医師に求められる知識や技術をどう担保するかも課題」とする。国が4月に予定していた資格認定制度の導入は延期された。「問題が起これば、患者にメリットの大きいオンライン診療そのものが崩壊する。(一時的な期間後は)方針通りに初診を除外し、医師の研修などと合わせて慎重に進めてほしい」と訴える。