女性は、治療に効果があるとされる抗インフルエンザ薬「アビガン」の利用を主治医に勧められ、早く楽になりたい一心で受諾。10日間、朝夕に服用し「体質に合ったのか日に日に元気になった」。おかゆでも2~3口以上は食べられないほどだったが、食欲も回復。家族とは無料通信アプリLINE(ライン)のビデオ通話機能で毎日連絡を取った。夫は「妻を元気づけたかったし、体調の急変にすぐ気付きたかった」。30日と5月1日のPCR検査で陰性となり、1日夕に退院した。

 感染経路は不明のままだ。3月以降は仕事や買い物など最小限の外出だけで、「歯の治療中に飛沫(ひまつ)感染したのかも」と考える。職場には4月上旬から出勤できていない。
 歯科医院も3週間ほど休業し「迷惑を掛けた」と自責の念を抱く一方、医院側からは「気にする患者さんもいる。騒動が落ち着き、特効薬ができるまで休んでほしい」と無期限の休暇を言い渡された。「今後の生活が不安」と打ち明ける。
 長女(29)は若年性リウマチという難病を抱えながら働き、毎日の服薬と週1回の抗炎症剤の注射が欠かせない。「娘が感染すると命を取られると考えた」。女性は発熱後、食事や洗濯を別々にするなど徹底的に自宅での接触を避けた。大型連休明けに職場復帰した長女から「会社の社長が『社内で不快な思いをすることがあれば伝えてほしい』と言ってくれた」と聞き、とてもうれしかった。
 女性は「どんなに予防に気を付けても、感染する時はする」と実感する。だからこそ、マスク着用や手洗いの励行だけでなく、疲れをためず、体力を維持することにもっと注意を払うべきだったと反省する。
 入院中、新型コロナに感染した1人暮らしの男性が診察を受けられず、部屋で亡くなったというニュースをテレビで知った。「どんなに苦しく寂しかっただろう。支えてくれる家族がいる自分は恵まれている」