家庭訪問で2メートル以上離れて生徒と会話する園部中の片山教諭(南丹市内)

家庭訪問で2メートル以上離れて生徒と会話する園部中の片山教諭(南丹市内)

先生へのメッセージを書いた八木西小のきょうだい(南丹市八木町)

先生へのメッセージを書いた八木西小のきょうだい(南丹市八木町)

臨時休校を受けて東輝中の教員らが作成した冊子。担任が各家庭を回って配布し、回収している

臨時休校を受けて東輝中の教員らが作成した冊子。担任が各家庭を回って配布し、回収している

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休校期間が長引く中、亀岡市や南丹市などの小中学校は、感染防止に気を配りながら定期的に家庭訪問を行っている。ある中学校では、生徒と2メートル以上離れて話すといった決まり事を徹底して心情や生活ぶりの把握に努める。教員が家庭学習用の冊子を工夫して作ったほか、感謝の言葉をつづったボードを玄関に置いて気持ちを教員に伝える児童もいる。制約がある中でも互いの心の距離を縮めている。

 7日、南丹市園部町の住宅街。園部中(同町)の3年担任の片山大輔教諭(30)は、インターホンを押して名を告げると玄関から離れた。顔を見せた女子生徒と3メートルほど距離を取る。「体調はどう?」「めっちゃ元気です」。互いにマスク姿で語り合う。会話は数分で切り上げ、片山教諭は次へ向かった。
 表情や身だしなみ、やせたか、太ったか…。短時間であっても、会うからこそ得られる情報により、ストレスを抱えていないかや、生活リズムを保てているかなどが分かるという。「電話とは違う。会わないと伝わらない」と片山教諭は話す。これで生徒の心も落ち着く。訪問を受けた津田咲登(さと)さん(14)は電話取材に「短時間でも会えると安心する」と喜んだ。
 感染防止と心情把握を両立させるために練ったスタイルだ。素っ気ないと誤解されないよう、こうした手法を取る理由を事前に保護者に説明。外出自粛の折、家庭訪問に疑問を持ちかねない近隣住民にも配慮している。「あらゆる目を意識しながら、最も良い形を考えた」と國府常芳校長(59)は語る。
 「生徒と顔を合わせたのは入学式と登校日の数日だけ。まだ関係を築けていない中、短時間の家庭訪問で、少しでも、その子の人柄を知ることができたら」。東輝中(亀岡市篠町)の1年担任の井澤七帆斗教諭(26)も感染防止に努めながら対面で会話する大切さを実感している。
 中学校で初めて習う教科の予習も含む冊子の進捗(しんちょく)状況を確認し、休校中の過ごし方や話しぶりにも注意を払う。市内3小学校から入学した1年生は「新しい友達と早く仲良くなりたい」と再開を心待ちにしているという。
 全校生徒が650人を超える市内最大規模の学校。担任と副担任がペアになって新興住宅地の校区の隅々まで車を走らせ、課題を届ける学年もある。川勝哲也校長(59)は「子どもたちとのコミュニケーションは学校の生命線。生徒が多いからこそ、休校中は各家庭との細かな連携が大事だ」と強調する。
 家庭訪問を通じて精神的な距離感が縮まる。「先生へ いつもありがとうございます」「しゅくだい がんばります」。八木西小(南丹市八木町)に通う5年の田中楓珈(ふうか)さん(10)と1年の琳太郎君(6)のきょうだいは5月上旬、ペンで思いをつづったボードを玄関に置いた。
 楓珈さんは「宿題を持ってきてくれることに気持ちを伝えたかった」と言う。母の育奈さん(38)は「思いを言葉に表す行動を起こせたのがうれしい」と目を細める。同小では、同様のメッセージを伝える児童が他にもいるという。中田善弘校長(52)は「なかなか会えない中でも、コミュニケーションを取ろうという思いからだろう。離れて、改めて学校の良さを感じたのではないか」とする。
 家庭訪問を通じて教員と児童、生徒が互いを思いやり、学校の素晴らしさも再確認しながら、学校再開の日を待つ。