4月に和食店を開業した男性。雇用調整助成金を申請するまでの資金繰りのため、他の支援金制度をネットで調べる(京都市内)

4月に和食店を開業した男性。雇用調整助成金を申請するまでの資金繰りのため、他の支援金制度をネットで調べる(京都市内)

 新型コロナウイルスの感染拡大が経済活動に深刻な影響を及ぼす中、業績悪化した企業が従業員を休ませた場合に支給する雇用調整助成金(雇調金)への申請が殺到している。だが、受給には原則1年以上の営業実績が必要なため、新規開業したばかりの企業では申請までに大幅な「待ち時間」がかかったり、8330円の日額の助成上限がネックになったりして、一部の企業経営者が使いづらさに頭を抱える。

 「開業したばかりで過去の実績がなく、雇調金をすぐ受給できない」
 京都市内で和食店を経営する男性はため息をつく。社員2人を抱える男性にとってネックだったのは、店をオープンしたのが今年4月だったことだ。
 雇調金の受給は原則、前年同月と比べて1カ月間の売上高が5%以上減っていることなどが現在の条件だ。新規開業や開業後の日数が少なく1年前の実績がない場合、4~6月は新型コロナ対策の特例措置に基づき、休業実施計画届を提出した前月と、過去1年間の適当な1カ月の売り上げを比べることができる。
 そのため、男性の場合は今年4月と5月の実績を比較し、5%以上売り上げが下がっていれば受給できる。それでも、申請のためには6月まで待たなければならず、当座の資金繰りに苦心している。
 開店の初期投資で既に400万円ほどかかっている。日本政策金融公庫から運転資金の2カ月分を借り、別の金融機関にも融資を要請。飲食店主らとネットで資金を募るクラウドファンディングも計画している。
 持ち帰りの弁当販売も始めたが、「オープンしたばかりで固定客も付いていない。知らない店の弁当を買ってもらうのはなかなか難しい」と話す。弁当販売で仮に売り上げが上がったら、雇調金の「5%減」の受給要件を満たさなくなる恐れもあり、「企業努力は無駄なのか」と葛藤する。
 企業が雇調金を受け取る場合、休ませる従業員に平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要がある。だが、現在の助成上限は従業員一人当たり日額8330円のため、上限を超える額は企業の自己負担だ。
 「雇調金は社員の平均給与の高い会社ほど会社側の負担が重くなる」。そう語るのは京都市内の食品会社の副社長(56)だ。緊急事態宣言のあおりで飲食店が軒並み休業し、4月の売上高は昨年同期と比べて7割減った。
 同社の1日当たりの平均給与は1万3500円。「従業員の暮らしを思えば給与の100%を出したい」と思うが、満額払うと8330円を超えた分は会社の持ち出しになる。政府は雇調金の助成上限を日額1万5千円に増額する方針を示し、企業の都合で休業手当を受け取れなかった休業者には直接給付する新たな制度の創設も打ち出す。
 副社長は「増額されればうちの会社も全額を払えるようになるが、対策が遅すぎる。雇調金はいわば『延命措置』に過ぎず、需要が回復しなければ業績の赤字が続くことに変わりはない」と話す。