凍結胚を使った不妊治療

凍結胚を使った不妊治療

 京都市西京区の産婦人科病院「身原病院」が不妊治療中の患者の受精卵の凍結胚を紛失させたとして、元患者の京都市内の夫婦が18日にも、凍結胚を保存・管理していた同院に対して採卵費用や慰謝料など約2300万円を求める訴訟を京都地裁に提起することが17日に分かった。

 凍結胚は、女性から採取した卵子を受精させ、細胞分裂した受精卵(胚盤胞)をストロー状の器具に載せて液体窒素で凍結させたもの。子宮に着床しやすい時期に受精卵を移植することができ、複数の胚の保管も可能で、次の妊娠に活用できるなどの利点があるとされている。

 訴状によると、原告の30代女性は、2015年7月、採取した卵子を受精させ、培養した五つの受精卵を同病院で凍結保存した。不妊治療で三つの胚を使用し、そのうちの一つの胚で妊娠した第1子を出産した。次の妊娠に向け、17年9月、残る二つの胚を使用しようとした際、病院側から「胚を紛失した」と連絡があった。

 病院側は、凍結胚を紛失した時期や原因は不明としながらも、夫婦に対して「医師が原因を特定して書面で説明する」とした。しかし、その後、医師からの説明はなく、示談交渉も決裂。夫婦は同院での治療を断念し、別の病院で不妊治療を継続した。

 夫婦側は訴状で、紛失した胚について「我が子の源」と表現。「紛失した胚から人として成長し、かけがえのない我が子になったであろうその子を一生喪失する結果となった」と訴えている。

 身原病院は京都市で特定不妊治療(体外受精、顕微授精)の助成対象となる医療機関に指定されている。同院は昨年9月、夫婦の凍結胚の紛失が表面化した際、京都新聞社の取材に対して「不妊治療をする中で、さまざまな心の痛みを与えてしまった。その責任は重い。誠心誠意、対応したい」と説明していた。