専門学校時代の丸子達就さん

専門学校時代の丸子達就さん

 35人が死亡、34人が重軽傷を負った京都アニメーション(京アニ)放火殺人事件は18日で発生から2カ月を迎える。現在公開中の新作映画「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝-永遠と自動手記人形-」で作画監督を務めた札幌市出身の丸子達就(たつなり)さん(31)も犠牲になった。専門学校時代の恩師と同級生が京都新聞社の取材に応じ、「傑出した才能で、努力も惜しまなかった」と早すぎる死を悼んだ。

 「入学してきた段階で既に画力が飛び抜けていた。一朝一夕では身に付かず、長年の努力がうかがえた」。札幌市の札幌マンガ・アニメ学院(当時)で丸子さんにアニメ製作を教えたアニメーターいがらしなおみさん(59)は振り返る。

 丸子さんはいったん大学に入ったが、アニメの道を諦めきれず、2008年に同学院の1期生として入学した。

 才能は学生の時から光っていた。原画製作やキャラクターデザインの能力がずばぬけていて周囲から助言を求められる存在だった。「寡黙で目立とうとしないが、情熱を作品に転化していた」(いがらしさん)

 卒業制作の短編アニメでは、感情の浮き沈みの激しい女性が恋する姿をユーモラスに表現。いがらしさんの十数年の指導歴でも出色の出来だったという。

 京アニ入社後は「中二病でも恋がしたい!」などで原画を担当。「響け!ユーフォニアム2」では、実力のあるアニメーターが担当する「作画監督」に20代の若さで抜てきされた。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝」でも犠牲者の池田晶子さん(44)らベテランと共に作画監督として名を連ねた。

 いがらしさんは、事件直後にはインターネット情報で丸子さんが安否不明と知ったが、「偽ニュースであってほしい」と願い続けた。だが先月27日、京都府警が身元を公表した犠牲者25人の中に丸子さんが含まれていた。発生から2カ月。今になって教え子の死の実感が強く湧いてきているという。「レベルの高い会社で、着実に評価されていく姿に期待していたのに」

 丸子さんの専門学校時代の友人、三角(みすみ)展広さん(28)=北海道羽幌町=も「同級生の間で天才と呼ばれていた。静止画なのに、今にも動き出すような絵を描いた」と在りし日をしのぶ。学生時代からメカの描写がうまく、戦車の絵は戦闘の映像が目に浮かぶほど真に迫っていた。

 普段は無口だったが、当時はやっていた「けいおん!」や「らき☆すた」に話題が及ぶと、饒舌(じょうぜつ)に語り出し、京アニ作品への憧れをにじませていた。

 2年前に刊行された京アニのファンブックで「どんな作品でもバリバリこなせる万能アニメーターになりたい…!」と熱く語っていた丸子さん。三角さんは「夢をかなえて、アニメ業界を背負っていくはずだった。どんなに悔しかっただろう」と唇をかんだ。