陽性イノシシ発見場所

陽性イノシシ発見場所

 豚コレラ感染が疑われる野生イノシシの死骸が滋賀県多賀町の山中で見つかり、滋賀県や県内の養豚農家は警戒を強めている。各農場ではウイルスを媒介する野生イノシシの侵入を防ぐ防護柵を既に設置しているが、県内初の感染疑い事例に農家は不安を募らせる。県は引き続き消毒の徹底などで防除を図る方針だ。

 県が野生イノシシから陽性反応が出たと発表した18日、日野町音羽で約2500頭の豚を飼育する養豚会社経営の男性(60)は「多賀町から離れているとはいえ、不安な日々が続く」と打ち明けた。農場に立ち入る人や車両の消毒作業をこれまで以上に強化するといい、「国や県には感染を広げない対策を一刻も早く進めてほしい」と話した。

 今回見つかったのは、野生イノシシへの感染が相次いで確認された岐阜、三重両県の県境に近く、三重県の発見場所から半径10キロ以内の「捕獲調査区域」(国の防疫指針に基づき設定)だった。

 滋賀県は岐阜県の養豚場で豚コレラが発生した昨年9月以降、区域内で捕獲したイノシシや県内で見つかった死骸の検査を進めてきた。今月上旬までに36頭を調べ、全て陰性だったという。

 8月には国による「ワクチンベルト」構築に向け、捕獲調査区域周辺の市町や団体と対策協議会を設立。今月下旬からのワクチン散布に向け、イノシシをおびき寄せる餌付けも始めた。県畜産課は、感染を食い止めるには「抗体を持つイノシシを1頭でも増やすことが重要」と、ワクチンの必要性を強調する。

 県内の飼育豚は養豚農家5戸で約4千頭(全国43位)。今年2月に豚コレラに感染した子豚が見つかった近江八幡市の養豚場では、全頭を殺処分するなど大きな被害が出た。県は約700万円をかけて全養豚場に防護柵(総延長約1・5キロ)を設置し、飼育豚に異常があれば速やかに報告するよう求めている。

 18日に始まった県議会9月定例会議では、捕獲や検査強化に約1700万円の予算措置を提案した。三日月大造知事は「国や関係県、関係団体とも連携しながらしっかりと対応していく」と力を込めた。