京都地裁

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 京都市西京区の産婦人科病院「身原病院」が不妊治療中だった患者の受精卵を育てた凍結胚を紛失させたとして、京都市内の元患者夫婦が同院に対して慰謝料などを求める訴えを起こし、原告の30代女性が19日、中京区で記者会見を開いた。同院から紛失理由についての説明はないといい、「私たちの子となる胚はどこにいったのか。同じように苦しむ人がこれ以上増えないでほしい」と語った。

 女性は病院側の対応について「『(胚の凍結・融解は)マニュアル通りで、過失はない』との説明ばかりで、いつどのような作業でなくなったのか、他人に移した可能性も含めて、具体的な紛失理由の説明はなかった。命が軽く扱われたと感じた」と話した。

 国内では凍結胚の保存や管理に関する規定はなく運用は各医療機関に委ねられている。女性は「国や行政は不妊治療に関するガイドラインを策定し、想定外の事態への対応について考えてほしい」と訴えた。

 訴状によると、女性は2015年、採取した卵子を受精させ、細胞分裂した五つの受精卵を同院で凍結保存した。17年9月、妊娠に向けて胚を使用しようとした際、病院側から「胚を紛失した」と連絡があった。夫婦側は治療費や慰謝料など約2300万円を求めている。提訴は18日付。

 身原病院は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。