京都府内の住宅地で最も上昇した地点を含む「御所東エリア」(京都市上京区寺町通広小路)

京都府内の住宅地で最も上昇した地点を含む「御所東エリア」(京都市上京区寺町通広小路)

 京都府内の基準地価は、商業地が平均7・1%上昇した。上昇率としては全国1位だった前年より0・4ポイント縮小し、3位に下げたものの、京都市内の観光地や利便性の高い地域を中心に、訪日客増加による宿泊施設需要は続いている。住宅地も町家などの宿泊向け需要が高くプラス0・1%となり、2007年以来12年ぶりに上昇に転じた。工業地も新名神高速道路の開通を控える府南部の上昇で、前年のほぼ倍のプラス7・9%となり、沖縄に次ぐ全国2位の上昇率だった。

 商業地の地域別では、京都市の上昇率が11・5%(前年比1ポイント減)で、全行政区で上昇。有数の観光地を抱える東山区の22・3%をはじめ、左京、南、伏見の4行政区で上昇率が前年を上回った。7行政区は上昇幅が縮小した。京都市近郊では長岡京市が8・6%、山城地域では京田辺市が2・3%上昇した。一方、南丹地域以北は調査地点のある全市町で下落した。

 住宅地は、京都市が山科区以外で上昇し、平均でプラス2・0%。山科区も0・1%の下落にとどまり、下落幅は縮小。近郊は向日市がプラス1・3%となるなど一部で伸びたが、山城地域や、亀岡市と伊根町を除く府北中部は下落した。

 工業地は、久御山町の1地点が20・8%上昇するなど、府南部で大きく伸びた。

 京都市内の商業地では、東山区四条通大和大路東入ル祇園町北側が41・9%伸び、地点別で全国6位の上昇率となった。JR京都駅前の下京区新町通七条下ル東塩小路町(プラス30・5%)や、伏見稲荷大社前の伏見区深草稲荷御前町(同25・0%)など、観光地付近は上昇基調で推移した。

 ただ、行政区別でみると上昇率が前年を上回ったのは東山区や左京区など4行政区にとどまる。残りの7行政区は、下京区がプラス16・6%で前年比4・2ポイント減となるなど、勢いに陰りもみえる。

 これまでは、主に宿泊施設の建設ラッシュが市全域の地価上昇をけん引してきたが、大手ホテルの進出が一巡し、中小ホテルや簡易宿所は競争が加熱。「今年は駅前一等地のホテルでさえ、客室価格が前年同期の半額以下になっているケースもある」(帝国データバンク京都支店)状況だ。

 住宅地もこれまでと異なる傾向が現れている。昨年は山科区以外で上昇率が前年を上回ったが、今年、昨年の上昇率を超えたのは上京区や西京区など5行政区にとどまった。

 地点別で上昇率が最も高かったのは、「御所東エリア」の上京区中筋通石薬師下ル新夷町で13・8%。「御所西」の同区室町通下立売上ル勘解由小路町が9年連続で府内価格1位となるなど、京都御苑の西側や南側で上昇が続く。御所東は鴨川と御苑に挟まれた狭いエリアで、これまでは緩やかな上昇だったが、「中心部としては割安」と、注目が高まっているとみられる。

 ただ、中心部の住宅地の上昇は、住居向け需要の高まりというより、町家の改装などによる簡易宿所や店舗の開業が影響している。マンション動向に詳しい不動産経済研究所大阪事務所は「以前なら宅地がまとまりマンションが進出したが、今はまとまる前に土地が売りに出ている」とする。ホテル急増の影響で、中心部では高価格マンションを宿泊用に購入していた富裕層や企業の動きも止まり、供給側が需要を読みにくい状況ともなっている。