全国社会人大会で警視庁と対戦する京都市役所時代の山口さん(中央)=1969年12月、花園

全国社会人大会で警視庁と対戦する京都市役所時代の山口さん(中央)=1969年12月、花園

 強烈なタックルと精巧なキック。山口良治さん(76)=元伏見工業高監督=は、日本ラグビー史に鮮烈な記憶を残すビッグマッチに出場した。W杯開幕を控え、日本代表への熱い期待を聞いた。

 1971年9月、秩父宮ラグビー場で行われたイングランド戦。3―6で敗れはしたが、唯一の得点をPGで記録した。試合後、互いにノートライの大激戦に感動した観衆がグラウンドになだれこみ、選手をたたえる写真が残っている。

 「ロープを張ったグラウンド横にも観客がいて。スローイングする時に『頑張ってや』と足をたたかれた。今では考えられないね」と笑う。トライのチャンスはあったが日本は生かすことができず、「(好試合の喜びより)勝てなかった悔しさがあった」。

 率いたのは名将・大西鉄之祐だ。試合前のロッカールームで一人ずつ名前を呼ばれて水杯を交わし、「歴史の創造者たれ。行ってこい」と大声で送り出された。「痛いとも、怖いとも思わなかった。あのような気持ちでプレーさせてもらって幸せだった」。指導者と選手との固い絆が強国に立ち向かうエネルギーになっていた。

 W杯開幕が迫る。先人たちが歴史を積み重ねてきた「ジャパン」はどう戦うのか。「願わくば、子どもが『ああいうふうになりたい』と思えるようなプレーを見せてほしい。パワーラグビーではなく、器用さやスピード、俊敏性。日本人の良さを生かしたプレーを」

 やまぐち・よしはる 1943年、福井県美浜町生まれ。若狭農林高、日体大を経て京都市教委。伏見工(現京都工学院)を率いて全国高校大会優勝など。京都市上京区。