バブル崩壊後、長年下落が続いていた地方圏の商業地の地価が上昇に転じた。

 国土交通省が発表した基準地価で、三大都市圏を除く地方圏の商業地は前年比プラス0・3%となった。上昇は1991年以来、28年ぶりである。

 訪日客増加や市街地再開発で、札幌、仙台、広島、福岡の主要4市を中心に上昇傾向が広がり、全体を引き上げた。

 47都道府県庁所在地の商業地平均を見ると、上昇と横ばいがおよそ8割を占めている。

 全国的な地価回復基調が鮮明になったといえよう。訪日客の恩恵が地方にも及んでいる。

 だが、都市部が全体をけん引する構図は変わらない。地方圏の商業地3623地点の内訳は下落54%、横ばい19%、上昇27%。少なくなったとはいえ、まだおよそ半数が下落している。

 9県は県庁所在地でも下落が続いている。人口減少で土地需要の少ない地方の衰退ぶりが、むしろ一段と浮き彫りになったのではないか。

 「東京への一極集中と似た構図で、中心部へのミニ一極集中が起きている」との専門家の指摘もある。二極化がさらに拡大する懸念は拭えない。

 京都では、訪日客の増加が続く京都観光の影響で、京都市を中心に商業地の高水準の伸びが続いている。ただ、ホテルの建設ラッシュが一段落するなど勢いに陰りもみえるという。

 滋賀は全用途で11年連続下落となった。京都や大阪のベッドタウンとして人気の高い県南部で上昇幅が拡大したものの、地域間格差が鮮明になっている。

 地価は地域の活気を測る目安とされてきた。人やモノ、お金が多く集まる場所ほど高くなる。

 一方でまちづくりに及ぼす影響や、固定資産税などの住民負担の増加も気にかかる。一般市民がマンションを購入しにくくなる事態も起きている。

 局地的なミニバブルになっていないか。政府や自治体は十分警戒し、必要な手を打つべきだ。

 交通や観光資源の面で不利な地域があることは否めないが「地価を上げるのがまちづくりの目標でもない」との指摘もある。

 日韓関係の悪化が響き、8月に日本を訪れた韓国人旅行者数は前年から48%減ったとされる。景気や国際情勢に左右されやすい観光に頼るのは限界がある。

 地域の個性を生かし、地に足のついた振興策が求められる。