新型コロナウイルス対策の外出自粛や休業の要請が各地で緩和され、日常を取り戻そうという動きが本格化しつつある。

 約1カ月ぶりに滋賀など39県で緊急事態宣言が解除された週末の16、17日は、外出を楽しむ姿が広がった。宣言が続く京都など8の特定警戒都道府県でも人出が増え、「気の緩み」で感染が再拡大しかねないと懸念の声が出ている。

 一方、営業の再開へ動き出した店舗や各種施設では、感染対策の難しさや、元の客足が戻るのかという不安を抱え、恐る恐るの足取りが目に付く。

 感染防止のブレーキを利かせたまま経済を前へ動かしていく、難しい手探りが続かざるをえない。

 取るべき行動の指針として政府が掲げるのが「新しい生活様式」だ。今後、第2波、第3波の流行にも備えた「長丁場への対応」が要るとして政府専門家会議がまとめ、提言したものだ。

 人との間隔は2メートル(最低1メートル)空ける▽外出や会話の際は症状がなくてもマスク着用▽帰宅したら手と顔を洗い、着替える-。

 これまでも密閉・密集・密接の「3密」を避けるよう政府が呼び掛けてきた内容をはじめ、暮らしや仕事の場面での感染防止策を具体的に列挙している。

 中には「食事は対面でなく横並びで座る。おしゃべりは控え目に、料理に集中」と細部にまで及ぶ項目もみられる。箸の上げ下ろしまで指示されるようだと違和感を覚える人も少なくないだろう。

 提言の趣旨は、可能な限り3密を避ける行動の在り方、考え方を多くの人が理解し、主体的に取り入れて持続可能な実践につなげていくことではないか。

 提言の項目を機械的に当てはめれば、個々の行動や事業活動を必要以上に萎縮させ、感染防止の連携や地域経済の足を引っ張りかねない。互いに監視したり、はみ出しを非難し合ったりする不寛容な社会になるのは避けたい。

 感染防止と事業の両立に向け、小売や外食など81の業界団体はガイドラインを策定している。各業者は営業再開の参考にしてほしい。

 ただ、3密が避けられない業種や、小規模で間隔が取れずに再開が厳しい店が取り残される。こうした事業者への支援の手を打っていく必要がある。

 人同士の接触を避ける宅配やオンライン販売、テレワークなどで新市場や働き方の可能性が広がる側面もある。新たな日常への対応に知恵と工夫を凝らしたい。