雨上がりの休日、好天に誘われて琵琶湖岸に車を走らせた。水田地帯は田植えが進み、青みを増した色合いが美しい。木々の新緑とともに初夏の季節を彩る日本の風景である▼心が和むのは緑色が持つ心理的効果もあるようだ。色彩心理学によると、暖色と寒色の中間色にあたる緑は最も刺激の少ない色とされ、人に落ち着きや安らぎを与えるそうだ▼同じ緑でも5月の緑は若やぎと明るさがあり、とりわけ目にすがすがしく映る。<若葉吹き渡りて次の若葉風>稲畑汀子。薫風との取り合わせがよく似合う色である▼今年の大型連休は、コロナ禍による移動自粛のため都市部で暮らす子どもたちが帰郷できず、田植えに苦労した高齢者も各地にいると聞く。小さな田んぼに整然と並ぶ早苗の姿に、湖国ではどうだったのだろうかと考えてしまう▼海外に目を向ければ感染の世界的大流行の混乱を受け、食料の輸出を止めたり枠を設けたりした国もある。日本への影響はないとされるが、私たちの食の足元は「安心」に値するものなのか▼滋賀に対する緊急事態宣言が解除されて初の日曜だったこともあり、近江八幡市の休暇村に立ち寄ってみたが、人影はまばらで「緩み」を感じるほどでもなかった。感染を警戒しつつ、ウイルスと共存する日常へ一歩ずつである。