新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)宣言後、世界保健機関(WHO)が初めて総会を開いた。

 感染拡大を収束させるため、加盟する各国が現状認識を共有し、対策を練る場としなければならないはずだ。

 ところが、米国と中国の覇権争いが、ここにも持ち込まれる格好となったのは、残念である。

 米国は、加盟国の一つが感染拡大を隠そうとしたと、名指しを避けながらも中国を批判した。

 WHOについても、「情報の入手に失敗したことが、感染が制御不能になった主要因だ」と、指摘している。

 これに対して中国は、「透明性のある対応をした」と真っ向から反論した。緊急事態宣言を出すのが遅れたともされたWHOの取り組みを、高く評価している。

 米中の反目がここまで鮮明となっては、国際的な協力関係をもとに、新型コロナに対処することができなくなりはしないか。

 米国のトランプ大統領は先月、「中国寄り」の運営をしているとして、WHOへの資金拠出の一時停止を決定した。

 感染を封じ込める活動に支障があっては、世界的に大変な事態となろう。近く、拠出額を大幅に減らすとの見通しもあるが、再考してもらいたい。

 中国は、習近平国家主席が、新型コロナの対策として、WHOに今後2年間で約2100億円を提供すると表明した。

 途上国の支援が、主な目的だとする。その一方で、米国の拠出停止の動きをにらみ、公衆衛生の分野で国際社会を主導する狙いも、うかがえる。

 感染拡大の防止に効果的な措置を講じたとされる台湾が、今回の総会にオブザーバーとして参加することには、強硬に反対した。これでは、防疫の在り方に適切な発言ができないだろう。

 双方とも、自国の利益だけに目を奪われていてはいけない。

 総会で、欧州連合(EU)と日本などは、新型コロナの発生源や感染拡大後の対応を巡って、独立した機関による検証作業を、適切な早い時期に始めるよう求める決議案を提出した。

 WHOのテドロス事務局長も、応じる考えを示している。

 これからもウイルスと向き合っていくうえで、避けて通れない道程である。公平な立場から、科学的根拠に基づいて、真相を明らかにしてほしい。