「おきつね山のじょん」の1ページ。温かみのある挿絵が添えられている

「おきつね山のじょん」の1ページ。温かみのある挿絵が添えられている

小原英明さんに寄り添う愛犬のじょん=小原さん提供

小原英明さんに寄り添う愛犬のじょん=小原さん提供

 保護された犬と過ごした日々を伝え、命のつながりを考えてほしい-。京都府綾部市でカフェを営む夫婦がこのほど、野犬を引き取って暮らした11年の思い出をまとめた絵本「おきつね山のじょん」を自費出版した。かけがえのない時間をくれた愛犬や関係者に感謝し、売り上げは全額を動物愛護団体に寄付するという。

 同市睦合町の小原英明さん(69)と明美さん(71)。2008年に市内に引っ越してカフェ「じょんのび」を開店し、間もなく雑種のオスを引き取った。大阪府和泉市の自衛隊演習場で保護された犬だった。「じょん」と名付けた。病弱だったが、綾部の豊かな自然の中で成長し、19年7月までの11年間を喫茶店の看板犬として生きた。

 小原さん夫妻はじょんが亡くなった後、以前に保護した人とも交流を深め、絵本の制作を決意。英明さんは生い立ちや過ごした日々をつづり、「人間の身勝手で不幸になる犬猫がいなくなる一助に」と思いを託した。
 絵本はじょんが息を引き取る場面から始まり、その生涯を回想する。山から保護され、夫婦の愛情を受けて育ったこと、2頭のきょうだいの死因と同じ免疫系の病と戦ったこと。じょんを亡くした夫婦の喪失感や感謝の思いも描いた。
 挿絵は綾部を中心に活動するイラストレーター、あきもとさきさん(35)に依頼。あきもとさんは、写真や物語を元に「満たされた日々、亡くした悲しさ、捨てられた犬たちの生きる姿を丁寧に表現しようと描いた」と色鉛筆などで温かみのある作品に仕上げた。
 小原さん夫婦は野犬保護活動に感謝し、絵本の売り上げを愛護団体へ寄付する。明美さんは「命のつながりを感じている。今の時代だからこそ、少しでも人の心を癒やし、役に立ちたい」と語った。
 190冊を販売。1冊千円で別途送料が必要。口座振り込みで郵送もできる。問い合わせは小原さん0773(21)4632。