黒豆の枝豆など京丹波の味を楽しめる返礼品(京都府京丹波町須知・町観光協会)

黒豆の枝豆など京丹波の味を楽しめる返礼品(京都府京丹波町須知・町観光協会)

 京都府京丹波町が、ふるさと納税への取り組みを活発化している。町内三つの「道の駅」の商品を対象にしていた返礼品は、今夏から町観光協会の地域商社事業部と連携し、品目を増やし始めた。ふるさと納税を用いた新庁舎建設事業への寄付の呼び掛けも模索している。

 同町は2008年度にふるさと納税を導入し、初年度は17万円(5件)が集まった。当初は返礼品がなく納税額が伸びなかったため、15年度から町の特産品を返礼品にしたところ、2515万8千円(1401件)と急激に伸びた。だが、その後は減少傾向に陥り、18年度は1598万円(919件)だった。

 そこで、「食の宝庫」である京丹波の特長を生かそうと、町は今月、ブランド豚「京丹波ぽーく」やこだわり卵など地元生産者による特産品を新たに追加し、返礼品を36品から81品へと充実させた。11月には秋の味覚、丹波栗のスイーツや原木栽培のシイタケなどを加え105品に増やす予定だ。

 返礼品増加の背景にあるのは、観光協会から独立して民間資本での設立を目指す「地域商社」だ。

 地域商社は町内産品の販路開拓を担い、新規就農者らの農産物を集荷して都市部での流通を図る。国の補助と町予算の計1千万円で同協会が「地域商社プロジェクト」を4月に発足、8月からふるさと納税の返礼品に携わる。同町によると、ふるさと納税に地域商社が関わる例は全国でも珍しいという。生産者とより近く、商品開発も手掛ける地域商社が関わることで、多彩な返礼品を提供し、魅力アップにつなげたい考えだ。

 地域商社を担当する町にぎわい創生課の山下稔課長補佐(46)は「新たな試みの地域商社がふるさと納税を生かして特産品を増やすことで、生産者に元気になってもらえたら」と意気込む。

 さらに、同町はふるさと納税の新たな活用として、21年6月末に完成予定の町役場新庁舎建設事業への寄付を受け付け始めた。建設費には計29億円を見込んでおり、財政難をカバーする狙いがある。

 寄付で返礼品を受け取ることはできないが、寄付額が個人で3万円、団体で10万円を超すと、感謝状が贈られ、新庁舎の入り口付近にネームプレートが掲げられる。納税サイトや町のホームページの申請書などで受け付けている。

 新庁舎建設室の中村昭夫主任(43)は「新庁舎は町民にとって、防災拠点や交流の場になる。特に町出身者に目を向けてもらい、みんなの庁舎という意識につながれば」と期待を込める。

 6月、総務省は過度な返礼品で多額の寄付金を集めることを規制する新制度を設けた。「返礼品は寄付額の30%以下の地場産品」などの基準を守る自治体のみを税優遇の対象とし、大阪府泉佐野市など4市町を除外する厳しい姿勢を示す。

 同町は以前から、返礼品について基準額を超えないように取り組んできた。新制度になっても町は「今まで通りに取り組む」としている。ふるさと納税の在り方が問われる中、長澤誠総務課長(56)は「積極的な取り組みは納税額を増やす目的もあるが、まずは京丹波を知ってもらう足掛かりにしたい」と話す。