新型コロナウイルスの感染拡大で、地域の病院や診療所の経営が悪化している。

 外来患者の受診控えに加え、院内感染防止に向けたコストが収益を圧迫しているためで、開業医らからは、このままでは閉院も検討せざるを得なくなるといった声が出始めている。

 医療機関の破綻が相次げば、大規模病院に患者が集中して感染拡大の第2波、第3波に対応できなくなるおそれがある。過疎地などで無医地区が生じないかも懸念される。

 安倍晋三首相はコロナ対応について「ある程度の長期戦を覚悟する必要がある」とした。地域の診療態勢をどう維持していくのか。医療機関への経営支援と併せ対策を急ぐ必要がある。

 全日本病院協会などによると、加盟病院の4月の利益率はマイナス9%で、前年同月に比べて10ポイント悪化した。京都私立病院協会が急性期を中心とした府内の30病院を対象に行ったアンケートでも、25病院が4月の収益減少を見込んでいた。

 診療所も状況は深刻だ。東京都内の開業医らでつくる東京保険医協会の調査では、回答した約1200医療機関の3割超が、4月上旬の外来患者が前年同期の半分以下になったとした。

 診察や治療の対価として診療報酬が医療機関に入るのは、申請から2カ月後になる。このため、病院や診療所の手元資金は6月に逼迫(ひっぱく)すると予想されている。

 政府は当座の運転資金の支援に向け、診療報酬を前払いする検討を始めた。だが、患者数が減っており、効果は限定的だとする声もある。迅速に利用できる融資制度や財政支援と併せて議論すべきだろう。

 医療機関にとっては、通院を呼び掛けたくても、患者や医療従事者の感染リスクから慎重にならざるを得ない面がある。

 厚生労働省は新型コロナの院内感染を防ぐため、医師がスマートフォンなどを介して患者を診察するオンライン診療を初診から可能にした。患者が自宅などから受診できるメリットがあるが、導入している医療機関は少ないのが現状だ。

 必要なシステムが整っていないことに加え、問診だけで判断し治療することへの不安が現場の医師に根強いと指摘されている。

 環境整備とともに、画面越しの診察に必要な技術研修など医師への支援も求められよう。医療を必要とする患者が受診できないような事態は避けなければならない