発展途上国への石炭火力発電所の輸出をめぐり、環境省の有識者会議が脱炭素化への支援に転換するよう求める報告書をまとめた。

 来月にも改訂される政府のインフラシステム輸出戦略に、ぜひ反映させてもらいたい。経済産業省や外務省などとの協議、調整をしなければならず、小泉進次郎環境相の政治手腕が問われよう。

 日本は石炭火力を「ベースロード電源」と位置付けるが、二酸化炭素の排出が天然ガスの2倍以上と特段に多い。国内での新増設だけでなく、途上国への建設支援は、世界が進める地球温暖化対策に逆行しているとして、国際的な批判を受けている。

 支援のあり方の転換は、日本のエネルギー政策を変えるきっかけになるのではないだろうか。

 報告書は、世界の石炭状況を整理し、石炭火力より再生可能エネルギーの方がコストが安くなりつつあると指摘。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴うエネルギー需要落ち込みの中で、石炭は不確実性が最も高い燃料とする国際エネルギー機関(IEA)の見方も紹介している。

 その上で支援の要件として、再生エネへの転換と経済復興を連動させる重要性を挙げている。

 ただ、建設支援の全面中止に踏み込むまでには至らず、その点は期待外れと言わざるを得ない。

 有識者会議は小泉氏の意向を受け4月に発足。昨年12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で、小泉氏は「脱石炭」を表明できずに失望を買い、温暖化対策に消極的として環境団体から「化石賞」を贈られていた。

 要件の見直しが、言葉だけで終わらないか注視したい。壁を動かすために、持ち前の発信力を生かしてもいいのではないか。

 世界では脱石炭火力の動きが広がっている。フランスは2022年、英国が24年、カナダも30年に廃止する方針だ。海外の金融機関では石炭への資金提供や投資をやめるのが潮流になっている。

 そうした中で、石炭火力への融資額で世界1位から3位を占めるのは、欧州の環境団体によると、日本のメガバンク3社という。

 これら3社は4月までに、石炭火力の新設に融資しない方針を公表した。決定済みの支援や最新技術導入の場合は例外で、環境団体は「抜け穴」と批判するが、世界の動向に背を向けられなくなった方針見直しといえよう。

 いまコロナ後をにらみ、脱石炭に大きく踏みだす時ではないか。