畑から転用した駐車場。3年前から地元自治会が迂回を促す看板を設けるなど対策をしてきたが、園は解決へ踏み込んだ(京都市山科区・西野山保育園)

畑から転用した駐車場。3年前から地元自治会が迂回を促す看板を設けるなど対策をしてきたが、園は解決へ踏み込んだ(京都市山科区・西野山保育園)

 保育需要の高まりで近隣の保育園に入れず、遠くの園に通う園児が増える中、マイカー送迎の路上駐車が園と住民との軋轢(あつれき)を生むケースが出ている。京都市山科区の西野山保育園は6月、解決に向けて園内の畑を駐車場に整備した。曲折を経て改善に進んでいる。

 「嫌いなトマトも自分で育てて食べられるようになったり、得意な虫取りを披露したり。成長に大事な場所だったんです」。吉岡昌博園長(45)は、4台分の駐車場に変わった畑の跡を前に振り返った。保育では畑の役割を大切にしてきたが、「地域に根ざす園として考え抜いた結果」と、前を向く。

 園は公設民営保育園として市が1970年に整備した。周辺住民の利用を想定し駐車場は設けなかった。地域の少子高齢化が進み、20年ほど前から他地域の園児が増加。駐車禁止指定されている園前の道路は送迎の車が連なり、昨年度は通園する約100世帯の半数がマイカー送迎だった。

 園は「アイドリングしない」などルールを設け協力を依頼してきたが苦情も絶えず、通報で警察も度々出動した。路上駐車の車両を避けて通る車に園児が接触する危険もあり、昨年10月、園は転用できそうな唯一の土地だった畑の駐車場化を決めた。

 保育士は猛反対したが、花壇を畑に改めるなど代案を示して説得した。保護者に文書で考えを聞くと、回答のあった全73世帯が「自分は駐車マナーを守っている」とした半面、43世帯は「(自分以外の)マナーが悪いと感じる」と意識のずれが浮かび上がった。

 畑を惜しむ声は残るが、保護者の意識は変わり、路上駐車は解消されたという。徒歩5分ほどの自宅から次女(5)を通わせる母親(44)も「買い物ついでに車で迎えに行くこともあったがやめた」と話す。吉岡園長は近隣約50世帯を訪問して理解を求め、送迎時間帯に駐車場を貸してくれる飲食店も現れた。

 園と住民との間に立ってきた西野山分譲住宅自治会の元自治会長、石野行彦さん(61)は「結果的に畑をつぶすことになり申し訳ない」と複雑な胸中を話す。地域には子どもが集まる施設を歓迎する声も多く、「これを機に、園と地域のつながりをより深められないか考えたい」とする。

 送迎車の増加は保育需要の変化に伴う問題だが、市幼保総合支援室は「駐車場が不要な園もあり行政の支援策はない」とする。対策としては唯一、防音壁設置への国補助があり、2015年度以降、市内4園が利用したという。同室は「育児環境も住民生活も大切。民間同士で折り合ってほしい」としている。