電子書籍の原画集「E-SAKUGA」。アニメのアーカイブ活用の1つとして提案する(京都府精華町光台・けいはんなプラザ)

電子書籍の原画集「E-SAKUGA」。アニメのアーカイブ活用の1つとして提案する(京都府精華町光台・けいはんなプラザ)

 世界に誇る日本のアニメーション。完成作品に至るまでには、原画など膨大な数の「中間成果物」が存在する。こうした貴重な資料をアーカイブ(保存記録)として利活用することを関西文化学術研究都市にあるにあるワンビリング(京都府精華町光台)が提案している。

 手掛けている商品の一つが、電子書籍の原画集「E―SAKUGA」。収録するアニメ作品の原画は、タブレット端末などの画面を軽くたたいて1枚ずつ送り見でき、パラパラ漫画の要領で動く様子が楽しめる。実際の動画も収録しており、原画と見比べることもできる。現在までに「ルパン三世」「新世紀エヴァンゲリオン」といった人気作品の原画集を作った。用いられている技術は、アニメ制作の学習や原画の展示会にも応用できる。

 保存・保管しているだけだった資料も、利活用すれば収益を生む。新たな価値を生み出すことで、さらに保存・保管の機運が高まり、貴重な資料を後世に残していくことにつながる可能性を秘める。

 さらに、藤田健次代表(51)は「アーカイブはアニメファン向けだけでなく、いろいろな使い方ができる」とみる。例えば、人工知能(AI)によって、原画に記された記号を識別して大量の資料を管理する技術の開発など、研究にも役立てる。アイデアの数だけ活用法は広がっていくと期待を込める。

 関西文化学術研究都市には先進的な研究開発を推進する、けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK、精華町・木津川市)もある。「KICKを拠点に、近隣の大学や産業、行政の関係者が集い、アニメのアーカイブ活用を考えるサロンを開きたい」と藤田代表は考える。

 集積する先端技術や人材を結集し、いずれは学研都市をアーカイブ活用の先進地に。描くストーリーは広がっていく。

 京都には漫画を研究する京都精華大や、ゲームを研究する立命館大があるが、意外にも「アニメの研究をする大学がない」と藤田代表は指摘する。アーカイブ活用によって、アニメの学術研究や、研究を担う人材育成にもつなげていきたいという。