刈り取られず満開を迎えたハナショウブが広がる岡井さんの畑(城陽市観音堂)

刈り取られず満開を迎えたハナショウブが広がる岡井さんの畑(城陽市観音堂)

つぼみのまま収穫された後、箱詰めされるハナショウブ。例年より売り値が3分の1ほどに落ち込んだ(城陽市観音堂)

つぼみのまま収穫された後、箱詰めされるハナショウブ。例年より売り値が3分の1ほどに落ち込んだ(城陽市観音堂)

 新型コロナウイルスの影響で、京都府城陽市の花「ハナショウブ」の栽培農家が苦境に立たされている。近年、生産量が減少する中、コロナ禍による需要減が追い打ちを掛けている。売り上げが3割以下に落ち込む農家もおり、「このままでは、城陽の花を作り続けられないかも」と悲鳴を上げる。

 城陽市は、豊富な地下水を生かした花き栽培が盛んで、ハナショウブでは全国有数の産地。同市農政課によると、昨年の作付け面積は約260アールで、10年前の約430アールから大きく減少している。農家は10軒ほどという。
 ハナショウブの出荷は4月下旬から始まり、京都市や大阪府の市場に出荷される。端午の節句に合わせてニーズは高まるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴うイベント中止などで、需要が激減。生け花用としても出荷するが、「3密」を避けるため各地の生け花教室が開かれず、消費は低迷する。
 3代目農家岡井元弘さん(68)=同市長池=は「出荷を始めた時から売り値は例年の3分の1ほど。これほど値が付かないのは初めてで、売り上げはいつもの2、3割」と声を落とす。
 岡井さんは同市観音堂の露地とビニールハウス計約70アールで育てる。この時期はパートを雇い、つぼみのまま刈り取った花を束ねて箱詰めする作業に追われる。出荷は5月末ごろまで続くが「売り値が安く、人件費や輸送代などを考えると、市場に持っていくほど赤字」と岡井さん。パートの人数を減らし、岡井さんの畑では、収穫されなかった満開のハナショウブが咲いたままだ。
 JA京都やましろでは4月下旬、市内農家から計4500本を買い取った。城陽支店の担当者は「大口の消費が減っているので、経済的な支えになかなかつながっていない」と話す。
 同市農政課は「市としても買い支えし、マスクや消毒液の購入費補助をしている」とするが、岡井さんは「城陽の花を守るため、農家は何とか踏ん張っている。来年以降も安心して栽培できるような支援をしてほしい」と訴えた。