地球温暖化が進めば、今世紀末に海面が1メートル強上昇し、世界の氷河は40%以上失われる。さらに漁獲可能な魚の量も最大24%減る恐れがある。

 そんな海洋と雪氷圏に関する特別報告書を、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した。温暖化が海などの生態系を大きく変え、食料供給にも深刻な影響を与えるというショッキングな内容だ。

 IPCCは世界の科学者のネットワークで、温暖化の現状を分析、評価している。先月も、温暖化の土地への影響をまとめた特別報告書を公表し、干ばつなどの増加で2050年に穀物価格が最大23%上がる恐れがあり、食料不足や飢餓のリスクが高まると警告したばかりだ。

 報告書は、エネルギーや土地利用などあらゆる面で変革が必要だとし、来年に本格始動するパリ協定の下で温室効果ガス排出を迅速に減らす必要性を強調している。

 だが、世界の足並みはいまだにそろっていない。

 将来の破局的被害を避けるためニューヨークで開かれた国連の「気候行動サミット」では、世界で高まる若者の抗議活動を背景に欧州各国を中心に77カ国が、50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると表明した。

 一方で、排出量世界2位の米国はパリ協定からの離脱を表明しており、インドや中国など新たな目標を示さなかった国も多い。

 日本も「50年に80%削減」などの現在の目標を変えず、消極姿勢に終始している。先進7カ国で唯一、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電の新増設も認めており、危機感の薄さは明らかだ。

 185カ国が締約するパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度未満に抑える目標を掲げる。

 だが気温は既に約1度上昇し、現在の各国の目標を達成しても約3度上昇し、深刻な被害が予想されている。1・5度に抑えるには50年に世界全体で実質ゼロにする必要がある。

 危機の兆候は世界各地で現れている。過去5年間、地球は100年以上ある観測史上、最も暑かった。熱波や豪雨といった極端な気象が増えており、将来、南極や北極の氷が一気に融解する恐れもある。

 サミットでグテレス国連事務総長は、議論より行動の必要性を訴えた。それに応えられない日本などへの世界の目は厳しい。危機を直視しなければならない。