関西電力の役員らが、原発の立地する福井県高浜町の元助役から巨額の金品を受け取っていたことが分かった。

 原発関連の工事費として立地地域に流れた「原発マネー」が環流した可能性がある。どういう趣旨の資金で、原資は何か。徹底した解明が必要だ。

 関係者によると、金沢国税局の税務調査で八木誠会長や岩根茂樹社長を含む6人が2017年までの7年間に、元助役の故森山栄治氏から計約1億8千万円を受領していた。

 岩根社長は会見で「20人が計3億2千万円を受け取っていた」と明らかにした。

 森山氏は原発関連工事を請け負う地元建設会社から約3億円を受領している。関電側への資金提供は「お世話になっているから」と国税局に説明した。個人口座に送金したり、現金を入れた菓子袋を届けたりしたという。

 建設会社は15~18年、原発関連工事を少なくとも25億円受注している。電気料金を原資とする工事費の一部が環流し、役員らのポケットに入ったのであれば、大きな問題だ。

 岩根社長は「返却を拒まれたため一時的に個人の管理下で保管していた」と釈明したが、受け取らずにその場で返すのが常識ではないか。発覚しなければそのまま受領するつもりだったと思われても仕方ない。

 公務員なら収賄罪などに問われかねない。関電幹部の刑事責任を問うにはハードルもあるが、厳正な対処が求められる。

 関電は既に社内処分を行い、八木会長と岩根社長の報酬減以外は「人数と内容は差し控える」としている。それで済むはずはなく、速やかに明らかにするべきだ。

 高浜町の地域経済は原発関連事業で支えられてきた側面がある。原発誘致に動いた森山氏は関電に顔が利く実力者だったという。

 税務調査は通常、課税時効の関係で最大過去7年までしかさかのぼらない。判明したのは、福島第1原発事故で脱原発の大きな流れが起きた時期とも重なる。

 それ以前から何のためらいもなく授受が続いていたのではないか。電力会社の公益性に疑問符が付く事態と言わざるを得ない。

 原発マネーの闇はこれまで高浜原発以外でも指摘されてきた。地元からは「氷山の一角にすぎない」との声も上がる。

 交付金の使い道も含め、不透明な金の流れや癒着の構造を洗い出すべきだ。