増え続ける医療費の抑制に向けて、国が決意のほどを示したといえよう。

 厚生労働省が、公立病院や日赤などの公的病院のうち、診療実績が乏しく、再編や統合の議論が必要と判断したところの名称を、初めて公表した。

 これまでも、各都道府県が、病床(ベッド)の削減を目指す「地域医療構想」に基づいて、再編などを検討するよう促してきたが、あまり進展せず、「名指し」という強硬手段に打って出た。

 公表されたのは全国1455の公的病院のうち、約3割の424に及ぶ。京都府は4、滋賀県は5あった。

 名指しされた病院のある地域では、身近な医療機関がなくなってしまうのではないかと、住民の不安が募るはずだ。丁寧な説明とともに、地域の実情にも配慮した議論を望む。

 あえて、同じ日に発表したのだろう。昨年度、全国の医療機関に支払われた医療費は、高齢化が進んで42兆6千億円となり、過去最高を更新した。

 さらなる消費増税を含め、財源の手当てが難しくなる中で、医療費の抑制は大きな課題である。

 こうした状況を受けて国は、団塊の世代が全員75歳以上となり、医療と介護の需要が大幅に増える2025年をにらみ、全国で124万を超える病床を、119万程度に減らす方針を示している。

 各都道府県にも削減計画を策定させたが、不人気施策の遂行に首長らは消極的だとされる。

 そこで、救急医療などの診療実績と、競合する施設が近くにあるかどうかを分析し、再編・統合の議論が必要な病院を特定して公表した。

 各地の病院は、程度の差こそあれ、必要とされるから、診療を続けてきた。降雪地帯や山間地といった地域事情もある。

 それを考慮せず、頭ごなしに名指しするやり方は、関係者の反発を招き、かえって議論が進まなくなる可能性が指摘されている。国と地方が対立するような局面は、なるべく避けた方がよい。

 国は、強制力を持たないが、公表した病院には、廃止や一部診療科の移転などを検討してもらい、来年9月までに結論を出すよう、都道府県を通じて促すという。

 地方の側も、やみくもに現状維持を主張するわけにはいかない。限られた財源の中で地域医療を維持するために、どうすればよいのか、知恵を絞ってほしい。