新型コロナウイルスの影響で、生活や事業のための資金を得られなくなった人と企業が、急速に増えている。

 将来支払われる給与を担保に、業者からお金を受け取ったり、商品の販売先から代金を受け取る権利(売掛債権)を買ってもらったりする取引が、見受けられるようになった。

 こうした資金の調達方法は「ファクタリング」と呼ばれるが、業者の中には、法外な手数料を要求するところもある。

 「新手のヤミ金」として、金融庁が警戒を呼び掛けており、注意が必要だ。

 ファクタリングでは、業者が手数料を差し引いたうえで売掛債権や、債権とみなした給与を買い上げ、利用者に資金を提供する。利用者は後日、回収した現金や支給された給与を返し、差額が業者の収益になる。

 オンラインでも手続きできるほど手軽で、入金が早いことから利用されている。

 一方、債権の取引なので、貸金業法などに縛られないとして、手数料が高く設定されていることを知っておきたい。

 ある会社員は、「前借り」くらいの軽い気持ちで、「給与ファクタリング」を利用した。30分ほどの審査で資金を得られたが、後日返済すると、手数料は年利換算で利息制限法の上限(15~20%)を大幅に超え、400%近くになっていたという。

 悪質な業者について金融庁は3月、「貸金業に当たる」と指摘。埼玉県や広島県の利用者に、業者が支払いを求めた二つの訴訟で、東京地裁の判決は「取引は貸金に当たる。法に違反し刑事罰の対象になる」と請求を棄却した。

 安易な利用を避け、あまりに法外な手数料の要求には、応じられないと訴えるべきだ。

 一般社団法人「日本ファクタリング業協会」(東京都)に持ち込まれた相談は、昨秋から年明けにかけて月60件程度だった。ところが、新型コロナの感染拡大後は、3月と4月だけで計約450件と大幅に増加した。

 要因の一つには、政府が収入の半減した中小企業などに手当てする「持続化給付金」や、1人10万円を配る「特別定額給付金」の手配が遅く、間に合っていないことも、挙げられそうだ。

 今すぐ、お金の要る状況になった人らが、弱みにつけ込まれた例も、あるのではないか。一刻も早い善処を、政府に求めたい。