厚労省が再編・統合の検討対象とした京都府内の病院の評価

厚労省が再編・統合の検討対象とした京都府内の病院の評価

 厚生労働省が医療費抑制のため、「再編・統合の議論が必要」として公表した全国424の公立・公的病院では、京都府内の4病院が対象となった。病床を減らしたい国の方針に対して、府の構想では高齢化に対応し病床を増やす計画で、4病院はへき地医療や難病治療の拠点にもなっている。強引な国の手法に、地元からは戸惑いや疑問の声が上がっている。

 対象となったのは福知山市民病院大江分院(福知山市)、舞鶴赤十字病院(舞鶴市)、国保京丹波町病院(京丹波町)、国立病院機構宇多野病院(京都市右京区)。厚労省は団塊の世代全員が75歳以上となる2025年までに全国の病床数を18年比で約5万床以上減らし約119万床とする方針だが、全国的にも削減は進んでいない。

 府の構想は病床数を18年比267床増の2万9957床としている。丹後、中丹、南丹の3地域では「医療・介護資源が少なく、高齢者の割合が多い」と病床数の維持を明記。京都・乙訓も維持とし、山城南、山城北は増加を計画する。再編・統廃合で病床数が減れば、構想上、地域医療に穴が空くことになる。

 今回の厚労省の調査結果では、がんや救急医療など9項目の診療実績と、競合する病院が車で20分以内にあるかを判断して再編・統合を促しているが、府内4病院には地域医療の拠点として多様な役割がある。

 舞鶴赤十字病院は、府が他地域に先駆けてリハビリの地域拠点として指定した。府リハビリテーション支援センターは「重要度が増すリハビリの視点が国の再編議論に入っていない。むしろ機能強化が必要」と疑問視する。

 宇多野病院は府内唯一の難病医療拠点病院で、人材育成にも欠かせない。府は難病治療体制の再編中で「今後も開業医の診断サポートなど中核的な役割を担ってもらいたい」(健康対策課)と、再編・統合など念頭にない。病床削減に強制力がない中、地域の反発を招いて国の思惑通りに進まない可能性も出てくる。

■「地域への役割、評価されず」

 京都府舞鶴市では2007年から、舞鶴赤十字病院を含む公的4病院の再編に動いたが、まとまらなかった経過がある。現在は機能を集約、分担して4病院を維持しており、同病院の西田和夫院長は「職員一丸で最適な医療の提供にあたっている実績が評価されず、遺憾。府や市と連携し、地域に果たす役割と実績をしっかり伝えていく」とした。

 国保京丹波町病院は町内唯一の公的病院で、へき地医療も担う。太田昇町長は「町内は開業医が少なく、かかりつけ医の役割も果たしている」と困惑し、競合する病院が近いとした国の指摘には「交通機関が少ない地域にとって疑問」と不満げに語った。

 宇多野病院はALS(筋萎縮性側索硬化症)など神経難病の治療実績が多い。吉﨑宣夫管理課長は「今回の再編・統合議論には驚いている。病院が地域に果たしている役割をしっかりと説明していきたい」と語気を強めた。

 不安は病院の利用者にも広がる。福知山市民病院大江分院に月に一度通う女性(78)=同市=は「予約制で待ち時間が少なくて便利。この病院がなくなれば電車で市内中心部まで行かないといけない」と話す。国保京丹波町病院に10年以上通う女性(88)=同町=は「再編・統合という言葉だけ聞くと、なくなってしまうのではないかと不安になる」と表情を曇らせた。

 宇多野病院に長年通院していたNPO法人京都難病連(京都市上京区)の北村正樹代表理事(62)は「医師以外のスタッフも症例の少ない難病に詳しく、患者の心のよりどころだ。効率が悪いとして再編・統合と進むのであれば全国の組織と連携し、存続に向け行動したい」としている。