緊急事態宣言の解除前、駐車場が封鎖されて人気がない八丁浜海水浴場(5月20日、京丹後市網野町)

緊急事態宣言の解除前、駐車場が封鎖されて人気がない八丁浜海水浴場(5月20日、京丹後市網野町)

 新型コロナウイルス禍の中、京都府の海沿いの市町が海水浴場の開設に頭を悩ませている。府内24カ所のうち15カ所がある京丹後市では、旅館や民宿などの海水浴客への経済依存度も高い。開設を巡る動きを追った。

 「海水浴場が開けなかったらこの先持たない」。市と市観光公社が19日に網野町で催した会議で、旅館関係者らが切実に訴えた。
 同市の観光スタイルは主に二季型で、夏の海水浴は冬のカニに並ぶ太い柱だ。昨年は天候不順で約18万人にとどまったが、海水浴客の入り込み数は例年20万人強で推移する。
 市観光公社の木本貴文事務局長は「何とかカニの季節が終わる3月までは持ったが、二季のうち一つが飛ぶと影響はあまりに大きい」と危機感を募らせる。観光事業者や保健所など専門家らと感染防止対策のガイドライン策定を進め、27日に市に開設を要望する予定だ。
 一方で、市は開設者間の温度差にも思い悩む。同市の海水浴場は、地元観光協会らが運営する4カ所に対し、地元地区は11カ所に及ぶ。地元地区を中心に上がる感染リスクへの不安の声も見過ごせない。
 さらに慎重にならざるを得ない理由は、地元と行楽客との間の摩擦だ。同市では緊急事態宣言中の4月中旬から海沿いでサーフィンやバーベキューに興じる若者らが多数集まった。他府県ナンバーの車への拒否感や苦情が連日寄せられたため、市は自粛を求める看板の設置や駐車場の封鎖などに踏み切った。
 だが、封鎖してもキャンプ場や海水浴場周辺の駐車場、空き地でバーベキューをする人が相次いだという。市観光振興課の大江裕課長は「海水浴場を開けなければ開けないで、勝手に侵入されて無秩序な状態になり、衛生面も悪化する可能性がある」と話す。他の市町だけでなく、他県の動向も含めて総合的に考えなければ、特定の海水浴場に人が集中する恐れもある。
 7月のシーズン入りまで準備期間は残り1カ月に迫るが、21日の府の緊急事態宣言が解除された際に知事から海水浴場についての言及はなかった。市は府の見解を今月末まで待つとした上で、6月には開設者の意向を聞きながら協議する場を設けたいとしている。