すしや唐揚げの材料となるサメ類(宮津市上司・海洋高)

すしや唐揚げの材料となるサメ類(宮津市上司・海洋高)

ブイヤベースラーメンのだしに使われるカナガシラ(宮津市上司・海洋高)

ブイヤベースラーメンのだしに使われるカナガシラ(宮津市上司・海洋高)

 市場に流通しない魚などの「未利用資源」を有効活用しようという取り組みが京都府丹後地域で進んでいる。高校生や民間業者らがこれまで食べられることが少なかった魚介類で新メニューを開発。食卓ではなじみの薄い「雑魚」や「怪魚」もおいしく食べられることをアピールし、新たな特産品にしようと挑戦する姿を追った。

■高校生が開発「ブイヤベースラーメン」

 昨年末、宮津市上司の海洋高が催す「高校生レストラン」に多くの客が長い列を作った。お目当ては生徒たちが実習船で捕まえた魚などで作った「ブイヤベースラーメン」。母親や友人と味わった中学1年山本碧さん(12)は「初めて食べたけど、海を感じられる味でおいしかった。あまり使われていない魚で、新しい料理を開発している高校生はすごい」と話した。

 ブイヤベースラーメンは同高食品経済コースの生徒たちが、捕獲されても捨てられたり、値が安かったりする魚介類を生かそうと、2015年に開発した。別コースの生徒が捕獲した海底で生きるカナガシラなどからだしをとって仕上げている。高校生による料理の全国大会「ご当地!絶品うまいもん甲子園」で準優勝に輝くなど人気メニューとして定着した。

 食品経済コースの3年鈴村寛さん(17)は「もっと多くの人に未利用魚のおいしさが広まれば、開発した自分たちの自信になる」と意気込む。

 同高では捕獲してもほとんど使われることがないというホシザメを使った料理も昨年開発した。大和学園京都調理師専門学校(京都市右京区)の講師らの指導を受けながら、すしや唐揚げのレシピを完成させた。現在もソーセージやシューマイ、ギョーザなどに活用できないか試行錯誤を続けている。

 生徒が下処理をしたサメは、宮津市内の飲食店などに提供している。道の駅にある「HAMAKAZE Cafe」は、サメの唐揚げや、同高のブイヤベースを使ったオリジナルラーメンを販売している。マネジャーの浜崎希実さん(37)は「ラーメンやサメ料理は珍しさから観光客に人気。地元の人も海洋高への親近感から興味を持って注文されます」と説明する。

■養殖魚の餌を「バーニャカウダ」に

 用途が限られていた魚に新たな価値を付けた加工品づくりに取り組んでいるのは高校生だけではない。京都府伊根町の水産加工業杉本健治さん(31)=同町井室=は、煮干しや養殖魚の餌として出荷される伊根漁港で水揚げされたカタクチイワシを使って、イタリアの郷土料理「バーニャカウダ」のソースを作っている。

 杉本さんは2年前まで同町の地域おこし協力隊員として活動していた時、町の基幹産業である漁業の低迷を目の当たりにした。「漁業を応援したい」と、海産物を使った新しい土産を考えていた。漁師との会話からカタクチイワシの存在を知り「せっかく取れても安価で取引されてしまう。食べられる魚なのでどうにか生かしたい」とバーニャカウダソースとして商品化を企画した。塩漬けしたカタクチイワシを白ワインで煮込んだ後、ジャガイモやタマネギ、ニンニクなどと合わせて仕上げた。町内外の観光施設などで販売されている。

 杉本さんは「家で気軽に楽しんでもらえるお土産を作りたい。丹後のおいしい魚を何らかの形で食べてほしい」と話し、バーニャカウダソースを使ったレシピも模索している。