幼保無償化を控え、対応に追われる幼児課職員ら(草津市役所)

幼保無償化を控え、対応に追われる幼児課職員ら(草津市役所)

 幼児教育・保育無償化のスタートを来月に控え、対象園児が多い滋賀県南部の自治体で担当部署の業務量が激増している。草津市では、無償化に向けた手続きや問い合わせ対応などの業務が、来春入所の相談が増える時期に重なり、職員の残業時間の合計は前年比5倍に膨れ上がった。ある職員は「未明まで残業する日が続き、へとへと」と疲弊した様子で打ち明ける。

 幼稚園や認可保育所、認定こども園などの利用を原則無料とする幼保無償化は、安倍晋三首相が一昨年の衆院選前に打ち出した。全ての3~5歳児と低所得世帯の0~2歳児が対象だが、公立の幼稚園や保育所は申請が不要なのに対し、一部の私立幼稚園や預かり保育、認可外保育所などを利用する保護者は申請が必要になる。おかず代など副食費の免除には条件があり、草津市幼児課は「複雑な新制度に不安を覚える市民は多い」と話す。

 同課では事務作業が6月から本格化し、市条例や規則の改正、約70ある対象園への説明などを通常業務と並行してこなしてきた。8月に臨時職員1人を2カ月限定で採用したが、9月下旬になっても、無償化を申請した約800人への認定結果通知の郵送に追われている。保護者からの問い合わせも増え、担当者11人のうち常に4、5人が電話や窓口で応対する状態だ。

 今年1月からAI(人工知能)による入所選考ソフトを導入し省力化に努めているが、無償化に伴う事務増大には活用できないという。担当のうち正規職員5人の残業時間は6月が前年比3倍、7月が同4倍、8月が同5倍に増えた。9月は5倍以上を見込む。

 大津市保育幼稚園課は、8月から電話対応などを担う臨時職員を4人雇い、35人で対応する。それでも9月の残業時間は前年比80%増えた。「日中は窓口対応と電話に手を取られる。連日、数人が午後10時ごろまで働いている」と話す。

 10月以降は、認可外保育所や預かり保育で一度徴収した利用料を返金する業務が加わる。守山市の担当者は「預かり保育などは返金申請件数が読めず、どれだけ業務量が増えるか不安」。年度途中の制度変更であることも忙しさに拍車を掛ける。大津市の担当者は「詳細な制度の通知は4月以降。半年で準備と周知はさすがに厳しい」と嘆く。

 今月初めには、関連法の運用基準などを定めた内閣府令に43カ所の誤りが見つかった。草津市では急きょ条例の再改正が必要となり、担当者は「プラスアルファの業務ができ、無償化認定などの本来業務に支障が出た」と不満を漏らす。